浦和のシステム変更が奏功…「ボールが回る」と選手も実感した“2ボランチ採用”の理由
名古屋とのアウェー戦で1-0勝利、試合開始からダブルボランチ採用
浦和レッズは6月26日のJ1第20節で名古屋グランパスとのアウェーゲームに臨み1-0の勝利。6試合ぶりの勝利を手にしたが、この試合ではスタートからダブルボランチでプレーした。ペア・マティアス・ヘグモ監督はシステム変更について2つの理由を話した。
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今季の浦和はヘグモ監督が就任して4-3-3システムの採用を宣言。沖縄県トレーニングキャンプから一貫してこのシステムでトレーニングを行ってきた。試合中の変更という点では第2節の東京ヴェルディ戦でFW中島翔哉をトップ下に投入して4-2-3-1に変更する采配があり、以降も何度かそれに似たパターンはあった。前節の鹿島アントラーズ戦は後半のスタートからシステムを変更した。しかし、試合のスタートからダブルボランチ採用はこれが初めてだった。
ヘグモ監督は試合後会見で、システム変更の1つ目の理由について「怪我人がいたりして、どの選手が起用できるのかは考慮しないといけない」と話した。これは前所属のスウェーデン1部ヘッケンでも中心選手として信頼し、今季から浦和に加入した同代表MFサミュエル・グスタフソンが負傷離脱中のことを指すと考えられる。グスタフソンは開幕から不動の存在であり、プレーメーカーとして高い機能性を見せた。彼なしでアンカーに絶大な存在感が求められる4-3-3を維持することに難しさを感じた可能性は十分にある。
その中で浦和は前半7分にこぼれ球を拾ったFWブライアン・リンセンとFWオラ・ソルバッケンのコンビで左サイドを切り崩し、ソルバッケンのラストパスがファーサイドに流れたところをMF渡邊凌磨が押し込んだ。渡邊はこの試合、トップ下で起用されてゴールチャンスに絡んだ。
鹿島戦を4-3-3のアンカーでスタートしたあとにトップ下に入り、この試合はMF伊藤敦樹と組んでダブルボランチの一角に入ったMF安居海渡はシステム変更について「真ん中を使う時に自分と敦樹くんが開けば、相手もついてきた時に凌磨くんが空くことがある。真ん中に入った時に逃げ道が何個か作れる状況はダブルボランチのほうがある。本来であれば1枚で前を向くのがベストだと思うけど、それができない状況の時にサポートの位置が下がるより、横や前の選択肢が作れるから、ボールが回るのではないか」と実感を話した。
Jリーグ全体の傾向を踏まえダブルボランチがより有効と判断
ヘグモ監督も「4-3-3でも4-2-3-1でも、我々が狙うスペースはあまり変わらない。ホームゲームでインサイドハーフから伊藤がよく裏に抜けるプレーを見せてきたが、今日はボランチからそれを行った。その時は安居がバランスを取る。そして伊藤が片方から上がれば、逆には渡邊がいることができる」と、同様のことを話していた。
また、指揮官はシステム変更の2つ目の理由として「私はJリーグについて早く学びたいと楽しみにしていた。そしてロングボールを使うチームが少なくない。その時にはセンターバックの前にダブルボランチを置くことでこぼれ球を拾いやすいだろう。両方のオプションを持っておくのが良いと思う」と、日本で初めての指揮となるシーズン前半戦を終えて、Jリーグ全体の傾向について話しダブルボランチがより有効だという見解を示している。
安居もまたこの点について「前回よりも(セカンドボールを)拾えている回数が多かったので、そのことに関してはそのとおりなんじゃないかと思う」と同意していた。
前節までで全チームとの対戦が1回ずつ終わり、このゲームが後半戦のスタートだった。グスタフソンが復帰したあとにもダブルボランチを採用する試合が出てくる可能性もあり、浦和の戦いぶりは少し変化していきそうだ。