大島僚太“帰還”で低迷川崎は生まれ変わる? 同僚&監督が抱く希望「これだよな、と感じる」

川崎の大島僚太【写真:Getty Images】
川崎の大島僚太【写真:Getty Images】

大島が約1年ぶりに復帰

 川崎フロンターレは6月26日、J1リーグ第20節で湘南ベルマーレと対戦し、1-1と引き分けた。この試合では、元日本代表MF大島僚太は後半35分に途中出場。負傷による長期離脱を経て、約1年ぶりの復帰を果たした。その色褪せぬ姿に同僚は「声を掛け合わずとも感じ合えているところがある。それを実感できて楽しかった」と振り返り、指揮官は
「持っているものを、変わらずプレーで出してくれれば。それがチームのエネルギーになる」と期待を寄せている。

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 大島は昨年7月8日の横浜FC戦で負傷し、右下腿三頭筋肉離れと診断されて以降、長期離脱を余儀なくされた。大島が離脱をしてからというもの、常勝チームだった川崎はまるでエンジンを失ったかのように大きく失速。昨季は8位で終わり、今季はリーグ前半戦を14位で折り返す厳しいシーズンを過ごしている。

 そんな大島が、湘南戦で実に354日ぶりのベンチ入りとなった。試合開始前のメンバー発表、サブメンバーの紹介でモニターに背番号「10」が映し出されると、サポーターはチャントを大合唱し、喜びを表現。すると、1-1で迎えた後半35分、投入の指示を受けた大島がユニフォーム姿となり、タッチライン際に立つと、等々力陸上は大声援と拍手喝采で包まれた。そして、1年という長い月日を経て、大島はピッチの芝を踏んだ。

 ダブルボランチの一角に入ると、すぐさま大島の足元にボールが集まるようになり、勢いが落ちていたチームにテンポをもたらし、川崎らしいパスワークが蘇り始めた。残り時間もわずかだったこともあり、試合は1-1で終了したものの、川崎が掲げるプレースタイルのシンボルでもある大島の復帰という光明に、スタジアムは明るい雰囲気を纏っていた。

指揮官も大島の重要性を強調「チームのエネルギーに」

 試合後のミックスゾーンでは、普段は寡黙ながらも、開口一番に「勝ちたかったですね」とコメント。「長かったです。手術はしていないけれど、長かった。結構大変な1年だった」と胸中を明かしつつ、「いつになるか分からないけれど、先発復帰を目指したい」と前向きな姿勢を示した。

 鬼木達監督は記者会見で大島の今後について尋ねられると「持っているものを、変わらずプレーで出してくれれば、それがチームのエネルギーになる」と、その重要性を強調し、「ゲームを冷静に俯瞰して見れる存在なので、全体像を感じながらゲームを動かしてほしい。最終的には、ゲームを決める作業に僚太が参加することが、エネルギーになる」と、ゲームメイク、そして得点関与で助けとなることを期待していた。

 トップ下でレギュラーを担うMF脇坂泰斗は、ボランチに配置された大島との久しき共演に「言い方悪いですけど、楽しかった。声を掛け合わずとも感じ合えているところがある。それを実感できて楽しかった」と振り返り、「ここにいたら、ここに来てくれるよね、ここにいたらパスをくれるよね、ここで溜めていれば、入ってきてくれるよね、だったりとか、練習から、これだよな、と感じることができる」と、復帰を待ち侘びていた様子だった。

 今季のチームには、真骨頂でもある華麗なポゼッションサッカーの歯車がなかなか噛み合わない試合が目立っていた。主力の引退や移籍により、黄金期で築いたサッカーが影を潜め始めていたなか、”川崎イズム”の申し子の帰還は、間違いなく選手、監督、チームにとってこれ以上ない希望の兆しとなるだろう。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)



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