57歳で現役続行 SNS上で「痛々しい」の声も日本代表OBは挑戦支持「カズさんしか得られない権利」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】57歳での現役続行は「カズさんにしか分からない世界」
“カズ”こと元日本代表FW三浦知良は6月25日、J2横浜FCからJFLアトレチコ鈴鹿へ期限付き移籍することが発表された。57歳でプレーを続けることに、SNS上ではさまざまな声もあるが、対戦経験もある元日本代表DF栗原勇蔵氏は「そこに到達したカズさんしか得られない権利」と見解を述べている。
カズは2022年に経営陣が刷新前の鈴鹿ポイントゲッターズでプレー。JFLでは18試合に出場して2得点、55歳246日でJFL最年長ゴール記録を保持している。23年には鈴鹿の期限付き移籍が満了となり、ポルトガルへ挑戦。同2部オリベイレンセでは2シーズンでリーグ計8試合に出場し、ポルトガル史上最年長出場記録を更新した。
57歳で今なお現役を続けていることは、世界的に見ても稀だ。記者会見では、2027年2月に迎える還暦に何をしているか尋ねられ、「答えられない。今年精一杯やるだけ。3年後の話はできない。ずっと言っていますが、やれることならずっとやりたいし、そうなっていればいいが、本当にできるかは分からない」と答える一幕があった。
鈴鹿移籍を受けて、SNS上では「痛々しい」といった57歳での現役続行に厳しい声も少なからず見受けられるが、横浜F・マリノス一筋18年プレーし、36歳で現役を引退した栗原氏は「カズさんにしか分からない世界」と感想を述べている。
「普通は歳を1つ重ねるごとに衰えていくなかで、57歳。僕が辞めてから20年以上も続けてると思うと、とんでもないこと。正直びっくりします。普通の57歳はおじいちゃんでもおかしくない。試合でプレーすることはおろか、日常生活でも痛いところが出てくるレベルですから。対戦相手も自分の息子以下の歳だったりもする。想像を超えるレベルの凄さです」
栗原氏は「相手と戦う競技である以上、いろんな声があるのも理解はできる。見る角度によってだいぶ変わる存在なのかもしれない」と前置きしたうえで、カズへの思いを口にする。
「カズさんは誰もが憧れた人で、日本サッカーにとってカズさんはいつまでの一番の存在。そこに到達したカズさんしか得られない権利。カズさんの思うようにやってほしい。動けなくなるまで、満足するまで、自分の道を貫いてほしいですね」
カズが鈴鹿でどんなプレーを見せるか、注目が集まる。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。