首位ターンの町田に忍び寄るJ1後半戦への危機感 選手も実感、対策手段はどうなる?
19試合消化で首位は「多少の充実感」も下田北斗に慢心はなし
FC町田ゼルビアは初挑戦となったJ1リーグの前半戦19試合を終え、首位ターンとなった。優勝経験のある鹿島アントラーズやガンバ大阪を抑えての堂々たる成績だが、6月22日に行われたJ1リーグ第19節アビスパ福岡戦(0-0)後、MF下田北斗は「多少の充実感はありますけど、危機感もそれと同じくらいある」と後半戦に向けて胸中を語った。
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黒田剛監督率いる町田は、J1初昇格となった今季、ハードワークをベースとした堅い守備、韓国代表FWオ・セフンら長身選手をターゲットにロングスローやフィード・クロスを入れる戦術を徹底し、開幕から着実に勝ち点を積み上げてきた。ボランチとして活躍するMF仙頭啓矢は、黒田監督の“徹底ぶり”を「勝利への執念が凄い」と表現する。
そのなかで、前半戦ラストゲームとなった6月22日の福岡戦は、5バックを中心に手堅く守り、素早い攻撃でチャンスを狙う相手を崩せなかった。オ・セフン(194センチ)やオーストラリア代表FWミッチェル・デューク(186センチ)を怪我で欠き、2トップの一角に身長170センチのブラジル人FWエリキが入っていた影響も少なからずあるが、相手のプレッシャーの前にDF昌子源らのパスが前線に思うように入らなかった。
首位の町田相手に勝ち点1を手にした福岡の選手たちは、「(町田は)やりづらそうだった」「(町田が)嫌がる守備ができた」と語り、先発出場した下田も「一番僕たちが狙いたいスペースは消してきた」と福岡の守備について印象を口にした。福岡の長谷部茂利監督が記者会見で、無失点に抑えたことを「一言だけ。町田はやりづらかったと思います。それで察してください。あとはみなさんが研究してください」と述べたのも、手応えがあったがゆえだろう。
この試合は、ボール支配率がリーグで最も低い福岡(41.3%)と19位の町田(42.6%)という対戦。そのなかで、福岡は「町田にボールを持たせる」シーンも多く、町田はポゼッションの練習もしているとはいえ、中央を固める相手を崩すことはできなかった、
下田は「福岡さんは堅い相手。しっかりハードワークしていたし、こじ開けられなかった」と語り、「相手の5枚、特にサイドはなかなか出てこなかったので、そこをどう引き出すか。5枚の段差を作るための出し入れをもう少しできれば良かった」と、“揺さぶり”が足りなかったと反省した。
クラブ史上初のJ1挑戦で、首位ターンの好成績を残しているが、下田は後半戦に向けた成長に余念がない。
「自分たちの志向しているサッカーがありつつも、無茶に真ん中に差し込んでもカウンターを食らうリスクもある。外回りと言うか、速いボールの動かしでどこが開いてくるか。シーズン始まった当初から上は目指していたけど、ここまでの成果は1日1日をチーム全員で大切にしてきたから得た今の立ち位置。僕たちもしっかり成長していかないと。先は長い。多少の充実感はありますけど、危機感もそれと同じくらいある。個々でまだまだ足りない場面があるので、もっと効果的にやりたい」
6月26日のJ1リーグ第20節では、昨季リーグ王者のヴィッセル神戸と敵地で対戦予定。4月13日の第8節では1-2と敗れているだけに、早速真価が問われることになりそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)