なぜ「完璧」な前半から一転 鹿島監督が浦和戦ドロー決着で「本意ではなかったこと」は?
ポポヴィッチ監督は鈴木が2ゴールを挙げた前半を「非常に良かった」と評価
鹿島アントラーズは6月22日に行われたJ1リーグ第19節で浦和レッズとのアウェーゲームに臨み、FW鈴木優磨が前半2得点するも後半に追い付かれて引き分けた。ランコ・ポポヴィッチ監督は「前半を一言で表すなら『完璧』だったと思う」と話し、だからこその引き分けに悔しさを吐露した。
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リーグ戦のちょうど折り返し地点となったゲームは、立ち上がりに動いた。前半3分、鹿島は中盤のルーズボールを拾ったMF名古新太郎が縦に動き出したMF師岡柊生に素早くスルーパス。抜け出した師岡はペナルティーエリアに入ったあたりでシュートを放つとGK西川周作が弾いたが、こぼれ球に鈴木が詰めてあっという間の先制点になった。
その後は浦和の最終ラインが鹿島の前線の守備を突破できず、鹿島がいい形でゲームを進めた。前半の半ば過ぎからは浦和に背後を狙うような動きが出てきたことで鹿島のラインを下げてボールを運ぶ時間ができたものの、ゴール前を崩すには至らなかった。すると前半終了間際の43分、鹿島は逆サイドから流れてきたボールに攻撃参加したDF安西幸輝がペナルティーエリア内で相手DF石原広教と対峙すると横パス。ここにマークを外して受けに来た鈴木が冷静に流し込んで2点目を奪い、リードを広げてハーフタイムを迎えた。
後半は浦和がシステムを変え、前半ほど鹿島は相手ボールを奪えなくなった。そのなかで後半32分にMF武田英寿に追撃のゴールを奪われると、アディショナルタイム突入直後にはサイドからのフリーキックで武田に意表を突いたシュートを決められて同点になり、勝ち点1で試合を終えた。
ポポヴィッチ監督は試合後、「引き分けで終わってしまったので満足しているとは言えない。ただ、前半の出来は非常に良かった。まさに前半を一言で表すなら『完璧』だったと思う」と評した。一方で、「後半に入って相手もシステムを変えてきたが、だから前半のように上手くいかなくなったわけではないと思う」と、浦和が4-3-3からダブルボランチに変更したことが主な要因ではないという見解を示した。
後半に「コンパクトさが消えた」ことを反省
それについて「コンパクトにできていた前半から少し距離が遠くなった。もちろん体力的な問題はあったと思うが、コンパクトさが消えてしまい強度を出すことができなくなったのが修正すべき部分だった」と話す。
そして、ポポヴィッチ監督は「展開的に0-0であれば前半より高い位置からボールホルダーを押さえに行ってスイッチを入れるプレッシングは分かるが、2-0でリードしていた。選手たちがピッチの中でプレッシャーをかけて奪い切る感覚があったのかもしれない。私は試合中、ジェスチャーを見れば分かるかもしれないが『セットして』というのを伝えようとしていた」と、前線が主導して前に追い出したことは本意ではなかったとし、それによって前後の距離が広くなったという見解を示した。
2位での折り返しは悪い成績ではないが、メンバーが固定されている傾向もある中で夏を迎える。指揮官は「頭を使うこと。よりプレーの精度を上げていくことと、効率化をすること。効率のいいプレーをすることがコンパクトさとインテンシティーを保つうえで重要になる。トレーニングからそういったことは意識して取り組んでいる。頭を使って効率良くプレーすることは、夏に向けても重要になってくる」と話した。
J1最多8回の優勝を誇るが、最後の優勝は2016年。FC町田ゼルビアを勝ち点2差で追う折り返しだが、夏を効率的に乗り切ればリーグ奪還を見据えることができそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)