三浦カズには「頭が上がらない」 フットサルW杯で共闘…町田復帰の45歳が抱く胸中
元フットサル日本代表FP森岡薫、ペスカドーラ町田に今季復帰しチーム牽引
Fリーグは6月21日に各地で第4節を行い、開幕3連勝のペスカドーラ町田はひがしんアリーナで今シーズン未勝利のフウガドールすみだと対戦した。元フットサル日本代表FP森岡薫のゴールで先制した町田だったが、前半9分にわずか42秒の間に3失点。これが大きく響き3-4で敗れて今シーズンの初黒星を喫した。
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今シーズン、4年ぶりに町田に復帰した森岡は、2021年に所属した立川・府中アスレティックFC(現立川アスレティックFC)時代以来、3年ぶりにFリーグ・ディビジョン1の舞台に立っており、前節のY.S.C.C.横浜戦(6-1)では自身のF1通算ゴール数を「300」の大台に乗せ、すみだ戦では記録を301に伸ばし、4試合4得点と得点ランクでも4位タイにつけている。
今シーズン、町田に復帰した経緯について甲斐修侍監督は「もともとうちにいて、『最後は町田で現役を終えたい』という強い思いを話してくれた」と説明し、「昨シーズンのうちの戦いを見ていたので、簡単に試合に出られないことは理解しているところからスタートして、2年間トップリーグから離れていたので、フィジカルコンディションなどあらゆるところで優勝争いをしているチームの基準に届くか未知数のところもありましたが、45歳という年齢を感じさせないベースアップをして、ゲームの中で持ち味を発揮するところまで持ってきている」と、評価した。
キャプテンのFP伊藤圭汰も「若手にも積極的にコミュニケーションを取ってくれるし、薫が入ってより一層チームが仲良くなった。プレー面でも、セットプレーのキッカーとしてやシュートの部分などで僕らにないようなものを持っている。年齢を感じさせない雰囲気、練習から取り組む姿勢、とにかく見本になる選手で、学ぶところはたくさんある。僕らにとって良い影響しかない」と、『森岡効果』を語った。
以前は自身のF1通算ゴール数を300に伸ばすことに強い意欲を口にしていた森岡だが、「今は個人のことを中心においていない。こういうゴールっていうのは、ご褒美のようなもの。自分のやってきた経験を生かして、チームの後押しができたらと思っている」と、コメントした。
「誰がダメだった、誰が悪いとかじゃない」とリーグ初優勝へ経験伝授
昨季の町田は最終節で名古屋オーシャンズとの直接対決に敗れ、長く走っていた首位から転落して悲願のリーグ初優勝を逃した。キャリアの最盛期で森岡は最前線のピヴォでプレーしてゴールを量産してきたが、現在の町田にはスペイン1部ベティスから復帰したFP毛利元亮をはじめ、FP野村啓介、FP三宅悠斗、負傷離脱中のFP本田眞琉虎洲と多くのピヴォの選手がいる。そのため、森岡はフィクソとして最後尾でプレーする。
「最近はずっとうしろで声を出したり、カバーをしたり、ピヴォにボールを入れたりしている。それが今の町田での役割かな。みんな若いし、ひたむきに頑張る選手たち。やっていることを信じている。戦う時には頼もしいけれど、強度やインテンシティーだけでは戦えない。駆け引きとか間の作り方、打ち合いに付き合わないとか、そういう経験の部分、相手が嫌がることをする部分は足りないと思う。自分のやりたい戦い方があっても相手がいるから、その相手にダメージを与える戦い方をしないといけない。勝ち点を重ねるためにはそれが大事だと思う」
この試合では初めてピッチに立ったサードセットが、立て続けに3失点を喫した。「以前の自分だったら『何してんだ!』となっていた」と笑う森岡だが、その姿勢ではいけないと強調する。「誰がダメだった、誰が悪いとかじゃないと思うから。チームとして取り返せなかった。決めなければいけないチャンスはたくさんあったし、パワープレーだけでも逆転できたはず。たまたま失点した時にピッチにいた選手が誰だったかとかはあるかもしれないけど、そこじゃなくてチームとして、こういう時に盛り返せるか。それが理解できるチームじゃないと、優勝できないと思う」と、全員が今季初の敗戦を自分事として受け止める必要があると語った。
チームに経験を伝えている森岡だが、現時点では今シーズン限りで現役を退く予定となっている。「年齢的なこともあるからね」という森岡に、2012年のフットサルW杯でともに戦った元日本代表FW三浦知良が現役を続行していることを伝えると、「あの人には頭が上がらないよ。でも、本当に1試合1試合出し切って、『このチームと対戦するのは今日が最後』というつもりで全試合やっていく」と、全力疾走を誓った。
Fリーグが始まって以降、日本フットサル界最大のスターだった森岡薫。そのラストダンスとなるシーズンで、町田が悲願のリーグ初優勝を成し遂げられるか、大いに注目される。
(Futsal X・河合拓 / Taku Kawai)
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