「ドイツの評判は地に落ちた」 EURO開催で起きた問題点を現地メディア指摘「悪夢のよう」
ドイツで開催のEURO、交通問題に現地メディアが注目
現地時間6月14日にドイツで開幕した欧州選手権(EURO)は、すでにグループリーグが始まっている。そんななか、現地メディアが「開催都市を訪れるサッカーファンは、ドイツ国内での試合会場への行き帰りの困難さや遅れにショックを受けている」と、混乱を報じた。
10ものスタジアムを使用し、ドイツで開催されているEURO。優勝を狙う開催国は、初戦でスコットランド、第2戦でハンガリーを下しグループAの首位に立っている。他グループでもスペインが2勝を飾り実力国としての強さを見せた。
一方で、ドイツ国際放送局「Deutsche Welle」は母国の交通状況について言及。「不定期で少ない間隔で、群衆は数メートル前方に移動し、かろうじて減少している。なぜこんなに車両が少ないのか?なぜこんなに時間がかかるのか?なぜまた同じことが繰り返されるのか?」と、ファンの行き帰りが困難となっている状況の問題点を報じた。
例に挙がったのは、ドイツ名門シャルケのホームスタジアムで17日に行われたイングランド対セルビアの試合後の様子。フェルティンス・アレーナを訪れたファンは「駅に近づく歩道橋の上で1時間以上もぎゅうぎゅう詰めの状態で過ごした。何百人もの人々が、待ち時間や混雑に直面するよりも、何キロも歩いて市街地や近隣の町に戻ることを選んだ」と長いこと帰路の境遇に見舞われたようだ。
同時に「中央の駅ではさらなる問題が待ち受けていた。ホームの混雑と運行会社の連絡ミスで、全体的な無秩序に拍車がかかった」と、混乱も報じている。同メディアの取材に答えたスコットランド人サポーターのフィン氏は「歩道橋の上は狭くて、イワシのようにぎゅうぎゅう詰めだった」と嘆いたという。
普段は車でたくさんのファンが来場するフェルティンス・アレーナだが、この日はほとんどがら空きだったようだ。記事では「近郊から来るサポーターにとっては、車は有効な移動手段かもしれないが、ミラノやマドリードをホームとするサポーターにとっては、ほとんど意味をなさない」と、訪れるファンの移動手段の違いを指摘している。
同メディアはさらに「路面電車の増便は、不満を抱えたファンにとっては慰めにならない」と厳しい見解を示し「インフラが対応できず、疲れたサポーターに苦痛や不快感を与えたことも多々あった」と問題点を列挙。「雰囲気は素晴らしいが、交通システムは悪夢のようだ」と1人のファンの嘆きも報じられた。
「ドイツの効率性という評判は、この1週間で地に落ちた。もし、EURO2024がこれまで見てきたような魅力的なサッカーと爆発的な雰囲気がなかったら、交通網の失敗や組織の不備が大会のイメージをもっと悪くしていたかもしれない」
大会の運営上の課題を提示しつつ、大会の盛り上がりがそれだけヨーロッパで大きいことにも触れていた。