「前回とは違う」 急性心不全発症から1100日…EURO復活弾のデンマーク代表MFに感動
デンマーク代表MFエリクセンは前回大会フィンランド戦の途中に突然倒れた
欧州選手権(EURO)は現地時間6月16日にグループリーグC組の初戦、デンマークとスロベニアの試合が行われ1-1で引き分けた。デンマークの先制ゴールを決めたのは、前回大会の試合中に急性心不全で倒れたMFクリスチャン・エリクセンだった。
スタメン出場のエリクセンは前半17分、右サイドからのスローインをFWラスムス・ホイルンドがヒールキックでつないだところへ走り込むと、胸トラップから素早く右足で合わせてサイドネットへ流し込んだ。
現在はイングランド・プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドでプレーするエリクセンだが、前回EUROの開幕戦となった2021年6月12日のフィンランド戦の試合中、ピッチ上で急性の心不全を発症。AEDによる心肺蘇生法で一命をとりとめ、植え込み型除細動器(ICD)を装着する手術を受けた。
世界屈指のプレーメーカー、セットプレーキッカーとして注目を集めたエリクセンを前回大会で襲った悲劇は世界中に衝撃を与えた。各国の選手たちが連帯の意を示し、日本でも当時浦和レッズでプレーしていたデンマーク人FWキャスパー・ユンカー(現名古屋グランパス)はゴール後にエリクセンへ向けたメッセージ「STAY STRONG CHRISTIAN(クリスティアン、強くあってくれ)」の入ったアンダーシャツを披露していた。
衝撃の瞬間から1100日となった今大会開幕戦でエリクセンは自らの足で過去を払しょくするようなゴール。自身にとってのEURO初ゴールを決めた試合後に、英公共放送「BBC」によると「今回のEUROでの僕のストーリーは、前回とは全く違う。試合に臨む自信はあったし、プレーできただけで幸せだった。EUROでのプレーはいつも特別なものだ」と話したという。
「BBC」によると、スロベニア戦のゴールには試合の解説をしていた元スコットランド代表のストライカー、パット・ネビン氏や元イングランド代表DFのガリー・ネビル氏も感動のコメントを残していたという。勝ち点3スタートとはならなかったデンマークだが、エリクセンの一撃は力強いメッセージを発するものになっていた。