「そりゃ勝てないよな」 なぜ失われる“川崎イズム”…選手が苦しみ吐露「ボールが来ない」

神戸に敗れ今季8敗目を喫した川崎【写真:Getty Images】
神戸に敗れ今季8敗目を喫した川崎【写真:Getty Images】

川崎は神戸に0-1で敗戦 “らしい”パスワークに陰り

 川崎フロンターレは6月16日、J1リーグ第18節でヴィッセル神戸と対戦し、0-1で敗れた。スコアは僅差だったものの、神戸は決定機が何度もあったのに対し、川崎はシュートまで持っていくことすらできず、厳しい戦いを余儀なくされた。試合後、暗い表情でミックスゾーンに表れた選手たちは「シュート4本しか打ってないんじゃ、そりゃ勝てないよなって感じです」「パスの出し手に対して圧をかけて呼び込まないと、ボールが来ないのかなという感じですね」とそれぞれ課題を口にしている。

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 今季5勝5分7敗と負け越している川崎は、神戸戦でも序盤から幾度となく決定機を許す展開に。前半43分、左サイドを突破され、相手FW武藤嘉紀に先制点を献上した。その後は神戸の決定力不足に助けられ、失点は最小限に留めた一方、試合を通してシュートまでほとんど持ち込めず、見せ場のないまま今季8敗目を喫した。

 試合後、川崎の選手たちが暗い表情で続々とミックスゾーンを通過するなか、途中出場のMF瀬古樹が取材陣の呼びかけに足を止めるも、振り絞るような小さな声で「スタッツにも表れていると思うんですけど、シュート4本しか打ってないんじゃ、そりゃ勝てないよなって感じです」と言及。公式データ上ではシュート6本となっているが、いずれにしろ枠内シュートは1本となっている。

 不振の原因と今後の対策について尋ねられるも「自分たち次第じゃないですかね……(改善策について)今聞かれてもちょっと……わからないですね……」と呟き、敗戦のショックを隠し切れない様子でバスへと向かっていった。主将のMF脇阪泰斗も硬い表情で囲み取材に応じ、「シュートチャンスの前のところ、ニアゾーンを取る回数、今日はそこが少なかったし、それがシュート数につながっている」と振り返った。

 劣勢を強いられた試合展開のなかでも、脇阪は違いを生み出すプレーを何度も見せていたが、ボールが足元に入ってくる回数そのものが少なかった。「僕自身はボールを受けられるタイミングで立っているつもりだったが、パスの出し手に対して圧をかけて呼び込まないと、ボールが来ないのかなという感じですね」と、川崎らしいパスワークが今は難しくなっている現状を吐露した。

 川崎のサッカーといえば、狭いスペースでも強気にパスを繋ぐポゼッションサッカーが真骨頂ではあるが、脇阪は「僕はフリーだと思っていても、ボールホルダーがそう思っていなければ、パスは出てこない」と“フリーの定義”の認識に対する歯車が噛み合っていない現状を明かし、「練習から、今のは出せるよ、もう少し早くパスをちょうだい、といったやりとりはしているんですが、もっと詰めていかないと」と危機感を示した。

 2017年にJ1初優勝を飾った川崎は、そこから2度にわたるリーグ連覇を達成し、5シーズンで4度の優勝を達成する、文字通り黄金期を築いた。その一方、時代を支えた主力勢の移籍や引退もあり、昨季は8位にとどまり、今季はシーズン折り返し時点で14位に沈んでいる。圧倒的なポゼッション、シュート数を誇っていた川崎は、今まさに転換期を迎えている。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)



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