百戦錬磨の元日本代表DFが「経験ない」 90分で三者三様…3人対峙の展開をどう攻略した?

神戸の酒井高徳【写真:徳原隆元】
神戸の酒井高徳【写真:徳原隆元】

神戸が川崎に1-0勝利 酒井が決勝点をアシスト

 ヴィッセル神戸は6月16日、J1リーグ第18節で川崎フロンターレと対戦し、1-0で勝利した。決勝点のアシストを記録した元日本代表DF酒井高徳は、川崎が試合を通して左サイドの選手を流動的に入れ替えてきたことで、酒井も時間を追うごとにマッチアップする相手が変わったが、「1試合に3人と対峙したというのは、あまり自分も経験したことない」と振り返りつつ、「細かい事前努力」で見事な攻略を見せた。

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 神戸は直近のリーグ戦3試合で未勝利と足踏みが続いているなか、0-0で迎えた前半43分、右サイドのスペースに走り込んだ酒井がペナルティーエリア内でボールを受け、相手GKチョン・ソンリョンとCBの間に絶妙なグラウンダーのボールを配給し、FW武藤嘉紀の先制点をお膳立てした。最終的にこのゴールが決勝点となり、神戸は4試合ぶりの勝利を掴んだ。

 川崎は左サイドで、前半の45分間をMF山内日向汰がプレーし、後半頭からはMF遠野大弥がシフト。後半17分からは途中出場のFWマルシーニョが配置された。神戸で右サイドバックを務める酒井は、90分間で三者三様のアタッカーとマッチアップすることになったが、試合後に「1試合に3人と対峙したというのは、あまり自分も経験したことない」と振り返った。

 Jリーグや日本代表だけでなく、欧州の舞台でも活躍してきた百戦錬磨の酒井をもってしてもほとんど経験にない出来事だったようだが「(相手選手の)タイプはある程度頭に入っているので、そのタイプによって自分がやられないようにした。最後はマルシーニョが入ってきたので、入れ替わって彼のスピードの特長を出されることだけは避けようと思っていた。自分が対応できなくなるくらい越されることだけは注意して対峙した」と、持ち前のフレキシブルさを発揮した。

 先発だった23歳の大卒ルーキーである山内とのマッチアップについては「ビデオでどういう選手なのかを確認して、上手な選手であるというのは頭に入っていた」と研究したうえで、「飛び込んでしまったらやられるかなというところで、どれだけ自分の間合いに先に持っていけるかという部分は、おそらく相手は経験がまだ少ないということもあって、自分の中で徹底できた」と、ベテランの貫禄を示した。

 切れ味鋭い突破力を武器とする山内だが、酒井は「守備の切り替えの部分で少しふわっとしているところがあったようなので、得点のシーンはそこを突くことできた」と、冷静な分析で川崎の守備を攻略する突破口を導き出した。「このような細かい事前努力を怠らないことを、自分の中で常に心掛けている」と、試合前に取り組んだ準備で差を見出してみせた。

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