“ティキ・タカ”の「変革」 スペイン代表のポゼッション率に変化…現地紙注目「大きな長所」

EURO初戦を快勝したスペイン代表【写真:ロイター】
EURO初戦を快勝したスペイン代表【写真:ロイター】

ポゼッション率でクロアチアが勝る結果に

 スペイン代表は現地時間6月15日に欧州選手権(EURO)の大会初戦でクロアチア代表と対戦し、3-0の快勝を収めた。スペイン紙「マルカ」は、ボールポゼッションで劣りながら勝利したこのゲームについて「この代表チームの大きな長所は、スペインに長年君臨してきたスタイルを修正し、大きな成功をもたらしたバージョンを改善しようと試みたことだ」と報じた。

 序盤の良い立ち上がりからスペインは前半29分、自陣でのクリアから一気に速攻を発動するとMFファビアン・ルイスがピッチ中央を切り裂くスルーパスを供給。そこに走り込んだモラタは相手DFを抑え込みながらGKとの1対1を左足で冷静に流し込んだ。スペインは前半の内に2点を追加し、後半にはクロアチアがPKのチャンスを逸する場面もあり3点差の勝利を飾った。

 ルイス・デ・ラ・フエンテ監督が率いるチームがこの試合で記録したスタッツは、クロアチアにボールポゼッションで劣りパス本数も388本(スペイン)と463本で下回った。しかし、「マルカ」紙はこうした変化について「さまざまなスタイルを混ぜ合わせることができるようになったのは、必要な変革だ」と好意的に報じている。

 そして「ルイス・デ・ラ・フエンテ率いる代表チームの大きな長所は、スペインに長年君臨してきたスタイルを修正し、大きな成功をもたらしたバージョンを改善しようと試みたことだ。長い間、問題になってきたのはこれまでの流れから外れることが代表チームとしての本質を失わせると考えてきたこと。私たちの国旗はティキ・タカという旗であり、それを掲げないことは違反とされてきた。それが最大の過ちであり、時代に適応する方法を知らなかった」と、これまでの代表チームが抱えてきた問題について言及した。

 それでも、このゲームで見せたモラタの先制点の場面のような高速カウンターは卓越したボールを扱う技術によって下支えされているのは間違いなく、同紙でも「ボール回しの工場はまだフル稼働していることを世界に示した。この試合のMVPであるファビアン・ルイスは、モラタの先制点でインサイドパスを通し、インサイドのつなぎからペドリが2-0とした。ペドリとファビアンはクロアチアの中盤の背後を自在に動き回った」と、その技術が効果的に試合で使用されたとしている。

 スペイン代表は2008年にEUROを初優勝し、10年に南アフリカ・ワールドカップ(W杯)で初優勝、12年にEURO連覇を成し遂げた。そこから10年強の間タイトルには手が届いていなかったが、変革の兆しを見せているスペインがこのユーロでどこまでそれを示すのか注目される。

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