J1首位・町田は「チェルシーみたい」 名将が席捲した当時との“類似点”を元日本代表DFが指摘

日本代表OBが町田の強さの要因に言及【写真:(C) FCMZ】
日本代表OBが町田の強さの要因に言及【写真:(C) FCMZ】

安田理大氏はロングボールを多用した鳥栖時代を振り返る

 今シーズンのJ1で首位に立っているのは、昇格したばかりのFC町田ゼルビアだ。長年にわたって名門・青森山田高を率いていた黒田剛監督の下、昨季J2を制した町田は第18節を終えて12勝2分け4敗という数字を残している。その強さの要因についてスポーツチャンネル「DAZN」の「内田篤人のFOOTBALL TIME」で、元日本代表DF内田篤人氏とDF安田理大氏が語った。

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 内田氏は「ちゃんとお金をかけて補強して良い選手がいるじゃないですか。それでオリンピック世代のような若い選手も活躍しているし、勢いもある」と分析。シーズン開幕前から町田の上位進出を予想していた安田氏は「勢いがどこまで続くかというのはある。後半戦が始まったら、前半戦に一発やっているから研究されて、後半戦は難しくなってくるかなというのがあると思う」と、シーズンを通して戦う難しさに触れた。

 町田は最前線に入る194センチの韓国代表FWオ・セフンに向けたロングボールを主体に戦っている。内田氏は「分かりやすいと思います。前にでかい選手がいて、そこの背後(狙い)だったり、そこにポイントを作って自分たちが押し上げていく。ボールポゼッションをせずに効率良く点を取る形で、このチームはハマっていると思います。それに合った選手を取っているのがいいなと思っています」と、戦い方に沿った選手補強ができていると指摘した。

 ロングボールを多用することにより、自陣の深い位置でボールを失い、ショートカウンターを受ける回数が減るメリットがある。それ以外にも内田氏はロングボールを蹴ると分かっていたら、「チームとしての上りもはっきりしやすい」と言い、最終ラインでボールを保持している選手へのサポートが不要になり、ロングボール後のセカンドボールをチーム全員で拾いに行きやすくなることをメリットに挙げた。

 パスサッカーが代名詞だったG大阪の下部組織から育ち、トップチームでも活躍した安田氏は「これって『やっている方は面白いの?』って周囲からは思われるんですけど、僕はサガン(鳥栖)にいた時にこういうサッカーしていたんです。トヨグバ(豊田陽平)が前にいて、ボールが来たらトヨくんにバコーンと蹴って、セカンドボールを拾って攻撃してゴールを決める。これ最初は俺も鳥栖に行った時『もっとつなごうよ』と思っていたけど、これで勝ってくると、このサッカーに快感を覚えてくるんです」と、結果がチームの一体感を高めた過去の経験を振り返った。

 そしてさらに「チームとしてもやり方が、すごくハッキリしている。町田はウッチーも言ったように、このサッカーに合った人が多くて、前の選手の思い切りもめちゃくちゃ良いから、サイドバックだとハッキリ動き出してくれるからいいなと思うし、前に強い選手がいたら逃げ道になる。そこ(前の選手)に対してサポートにいって、セカンドボールを拾って波状攻撃もできる。セットプレーも強いから、前に蹴ってスローインを得るとか。美しいフットボールをするのではなく、勝つフットボールを選んだ。だから、モウリーニョの時のチェルシーみたいな感じ。ドログバがいた時の」と、安田氏はイングランドや欧州を席捲した名門を例に挙げて、その強さを語った。

 これを聞いた内田氏は、「でも、練習ではすごくポゼッションの練習をするんだって。(金)明輝さんが。で、試合になったら監督が『勝ちに行け』と言って、(ロングボールを)蹴る。だから下手になっていかない。蹴るだけなら、ポゼッションはしなくていいから、ポゼッションなんてしなくていいし、選手としての質も落ちて行ってしまう。でも、トレーニングはポゼッションの練習や技術の練習もちゃんとしているから、選手が試合の時は自分で判断している。それがすごい」と、日常の練習によって選手たちの技術レベルが保たれているとも説明した。

 町田がどこまで首位を保てるかは注目だが、内田氏は「町田が本当に追われる立場になったら、結構難しいっていうのをこれから分かってくると思う。そのなかで優勝したらすごい。追うのと追われるのと、優勝争いが関わってくるとまた違うから」と、首位に立っているチームがこれからどのような戦いぶりを見せるかに注目した。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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