家長に欠ける大久保の”強引さ”

　新主将を務める小林は、新加入選手との連係について尋ねられると、「んー……」と一瞬言葉を詰まらせた後、「良くはなかったですね」とはっきり回答。「コンビネーションで崩す場面も多くはなかった。もっとコミュニケーションを取る必要がある」と言葉を加えた。

　大宮では、家長の後任として清水エスパルスから加入したFW大前元紀が無得点ではあったものの、個の力でゴールチャンスを4度演出するなど圧倒的な存在感を誇示。決定力には課題を残したものの、新エースとして確かな“違い”を見せた。

　その一方で、家長にとってはやや苦しい出だしとなった。昨季まで川崎のエースとして君臨していたFC東京のFW大久保嘉人は、得点につながらずともシュートで終わる印象が極めて強かった。後任の家長は技術こそ光るが、シュートに持って行く力強さが現時点では欠けている印象が否めない。

　ボール回しに重点を置く川崎にとって、大久保のシュートに持って行く強引さは、チームに貴重な化学反応をもたらしていた。そのため、攻めあぐねている局面では「大久保だったら……」という心情がちらつく瞬間がなかったとは言えなかった。

「まだまだ求められていることができていない。自分がボールを出すタイミングだったり、出し方もまだまだ。良さも発揮できてないので、今はスムーズにチームに馴染むことを念頭に置きたい」

　試合後にそう語った家長は、自分自身で改善が必要であることを明確に把握しているからこそ、迷わずチームへの適応を優先して取り組む意向を語った。