森保J、新システム3バックは継続すべき? あくまで「オプション」か…“最適解”を考察【コラム】

森保ジャパンの守備の要を担う板倉滉と冨安健洋【写真:Getty Images】
森保ジャパンの守備の要を担う板倉滉と冨安健洋【写真:Getty Images】

最終予選前ラストは3バック継続でゴールラッシュ

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランク18位)は6月11日、ピースウイング広島で初の国際試合となる北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でシリア代表(同89位)戦に臨み、5-0で勝利を収めた。6日のミャンマー戦(5-0)に続いて攻撃的場3バックにトライ。3バック時では計8得点(2得点は4バック時)と数字上では機能していた新システムの3-4-2-1だが、最終予選以降で起用する“最適解”を考察する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 広島の夜が5ゴールで彩られた。20年ぶりの代表戦、新スタジアムでは初めての国際試合。森保監督がサンフレッチェ広島時代から願い続けたサッカー専用スタジアムが設立され、日の丸を背負った選手たちが躍動した「舞台」となった。

 序盤からサイドを効果的に使っていた日本は前半13分、左サイドでMF中村敬斗が縦に仕掛けて左足で上げた絶妙クロスにFW上田綺世が打点の高いヘディングでゴール。頭でアウトサイドの完璧なコースを突いた。続く19分には再び中村がアウトサイドからMF久保建英へピタリとつけるドンピシャのパスで一気にチャンスへ。久保から受けたMF堂安律はカットインして左足シュートで追加点を挙げた。さらに3分後には久保がMF南野拓実へ出したパスを相手がオウンゴール。後半には途中出場MF相馬勇紀のPK、南野の技あり弾でトドメを刺した。

 この日も新システムの3-4-2-1でスタート。本来サイドバック(SB)のDF菅原由勢がウイングバック起用されていたミャンマー戦と違った点は、左右、両方とものウイングバックに本来ウイングの中村と堂安という攻撃的な選手が入ったこと。ミャンマー戦では右サイドが停滞気味になっていた時間もあったが、右センターバック(CB)にDF冨安健洋が入ったことで、堂安、1列前の久保が伸び伸びプレーでき、前線へぐいぐい押し込めた。

 両サイドを制圧したことで、生まれたチャンスを次々と仕留めて行ったことが収穫であり、シリア戦の勝利を手繰り寄せた一因だろう。

後半から伊藤洋輝が出場し4バックに変更【写真:徳原隆元】
後半から伊藤洋輝が出場し4バックに変更【写真:徳原隆元】

3バックと4バックの可変がさらにスムーズになれば軸になる可能性も

 一方で、後半からはミャンマー戦でフル出場していた中村を下げて、DF伊藤洋輝を投入。4バックに変更したものの、少し組み立てに苦戦していた。ボールを持ちつつも、リードしていたこともあり、スローテンポで攻めて行った。そのなかでも2ゴール奪ったことはプラスに捉えられる。

 冨安は「前半のほうがやりやすさはあったと思う。後半は立ち位置のところが有効じゃなかった」と3バックに手応えを感じていた。では、かなり攻撃的で2試合通して8ゴールを奪った3-4-2-1を基本システムとすべきなのか。

 これに関して答えは「ノー」だろう。あくまで攻撃な3バックはオプションであり、基本は従来の4-2-3-1または4-3-3になる。やはりW杯で勝利するためには、堅守は捨てられない。とはいえ、1点が必要となった時の“一手”としてこのオプションが発動するのは効果的だ。特にカタールW杯ではほぼぶっつけ本番だったサプライズシステムを、自分たちのものにすべく、2試合も経験を積めたことは本当に大きく、こんな機会はほとんどない。

 とはいえ、今回はミャンマーとシリアという相手だった。最終予選クラスでも畳みかけることが出来るか継続して見極めたいところ。MF伊東純也やMF三笘薫が加われば、より「槍」として期待できるし、中村、堂安のウイングバックも絶妙なポジショニングとハードワークで厚みを出していた。ただ、最終予選で3バックと4バックの可変がさらにスムーズになれば、森保ジャパンの軸になっていく可能性もある。

 3バックの組み合わせも、冨安&板倉に伊藤洋輝でも試したい。いずれも、W杯に向けて今後も高めていく必要がある。ちょうどこの日が北中米W杯開幕まで2年という節目の日だった。パリ五輪組もA代表入りを狙うなかで、2年での伸びしろを最大限にする。世界の壁を越えられるのか――。トップクラスで戦う選手たちとともに新たなオプションも作り上げて行かなければならない。

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