異彩放つ23歳…日本代表で「最も衝撃を与えている」 OB脱帽「惚れ惚れする」「今や日本の武器」【見解】

金田喜稔氏が中村敬斗を絶賛【写真:徳原隆元】
金田喜稔氏が中村敬斗を絶賛【写真:徳原隆元】

【専門家の目|金田喜稔】ミャンマー戦2ゴールの中村敬斗が見せた成長と可能性

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランク18位)は、6月6日にミャンマーのヤンゴンで行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でミャンマー代表(同163位)と対戦し、5-0で勝利を収めた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、2ゴールの活躍を見せた23歳MF中村敬斗(スタッド・ランス)に触れ、「フランスで活躍できている理由がよく分かる」「今や彼のシュートと決定力は日本の武器」と絶賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 押しも押されもせぬエース格にまで成長を遂げた23歳のアタッカーが、アウェーの地で相手に畏怖の念を起こさせた。

 前半17分、日本が中盤でボールを奪取した瞬間、中村は仲間を信じて左サイドを駆け上がる。MF鎌田大地からパスが回ると、巧みなタッチでエリア内に侵入し、右足を振り抜いてネットを揺らした。さらに後半アディショナルタイム、1トップのFW小川航基が倒れながらも身体を張ってパスをつなぎ、タイミング良く走り込んだ中村が見事なコントロールショットを沈めた。

 代表通算9試合出場で8ゴールと光輝を放つ中村の存在感は一頭地を抜く。金田氏も異彩を放つ男を絶賛する。

「1対1でドリブルを仕掛ければ先手を取るし、切り崩してのシュートも正確無比。あの絶妙なドリブルとタッチに加え、スーパーなシュートも備えているのだから、相手はうかつに飛び込めば抜かれるし、間合いを広く取りすぎるとシュートを打たれるので相当嫌だろう」

 中村はフランス1部スタッド・ランスで今季リーグ戦25試合に出場し、主力として稼働しながら4ゴールの結果を残した。シーズンを通してコンスタントにプレーした成長の跡が「ボールの持ち方」に滲み、相手にとっては嫌らしいほどの余裕につながっていると金田氏は分析する。

「中村がフランスで活躍できている理由がよく分かる。海外で経験を積み、ボールの持ち方にも相手を誘うような余裕が出てきているのがプレーから見て取れる。自分の良さを発揮できる間合いをしっかり掴んでいる証だろう。カタールW杯以降、日本代表の中で最も衝撃を与えている選手と言っても過言ではない」

 日本の課題は決定力――。かつて耳にタコができるほど繰り返された紋切り型のフレーズだが、永遠の課題と嘆息された問題の本質を辿れば、詰まるところ技術や判断力の問題でもある。解決可能な課題であることは、23歳のアタッカーが身をもって証明しているとおりだ。

「言わずもがなだが、中村のシュートは圧倒的に上手く惚れ惚れする。現在の森保ジャパンで最も結果を残している。9戦8発は伊達じゃない。スーパーシュートを当たり前のように決めるのは、確かな技術と判断、経験に裏打ちされているからだ。今や彼のシュートと決定力は日本の武器であり、彼に続くような選手が出てきてほしいと切に願う」(金田氏)

 日本の強みは決定力――。中村に続く選手が次々台頭すれば、そう評される日も近いはずだ。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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