森保J、ミャンマー戦出場全16選手「パフォーマンス査定」 満点評価は3人…3バック苦戦の主力は低評価【現地発】

ミャンマー戦出場の16選手を査定【写真:Getty Images】
ミャンマー戦出場の16選手を査定【写真:Getty Images】

ミャンマー戦の出場メンバー16選手を5段階査定

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランク18位)は6月6日、アウェーで北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でミャンマー代表(同163位)戦に臨み、5-0で勝利を収めた。

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 日本は森保監督が宣言したとおり攻撃的な3バックに挑戦。「3-4-2-1」システムを基本として、GKに前川黛也を据え、最終ラインは右から、橋岡大樹、谷口彰悟、伊藤洋輝を揃えた。守田英正と旗手怜央のダブルボランチでウイングバックに菅原由勢、中村敬斗、シャドーに堂安律と鎌田大地が入った。1トップは小川航基が務めた。

 攻撃的な3バックで攻める時にはセンターバック(CB)の3人と守田が残ってカバー。旗手や鎌田、堂安は柔軟に動いて細かなパスをつないだ。ガンバ大阪時代にウイングバックの経験がある中村は思い切って仕掛け、左サイドを活性化。すると、前半17分、守田がボールを奪取し、旗手、鎌田へ。鎌田は広い視野でオープンなパスを送ると中村が得意な仕掛けから先制ゴールをマークした。さらに同34分には中村からパスを受けた鎌田がシュート。これはポストに嫌われるもこぼれ球を堂安が落ち着いて決めた。

 後半には鈴木唯人がA代表デビューを飾ったなか、同30分に小川が頭で追加点を奪うと、さらに同38分にも相手のミスを逃さずゴールに流し込んでこの日2点目を挙げた。“超攻撃型3バック”を90分間試して、最後は中村がこの日2点目でダメを押して湿度80%超えの厳しい環境のなか、タフに戦い抜いた。

 ここでは各選手たちのパフォーマンスを振り返るべく、出場16選手を5段階評価(最高が5つ星★★★★★)で査定する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

   ◇   ◇   ◇

<GK>
■前川黛也(ヴィッセル神戸)=★★★☆☆
 ポゼッションも高く、枠内に飛んできたのは1本のみとほとんど出番なし。3バックを声で支えた。

<DF>
■菅原由勢(AZアルクマール)=★★☆☆☆(→後半17分OUT)
 アジアカップではダイナミックな攻撃を生み出せず、毎熊晟矢にポジションを奪われる格好となっただけに、もう少しアピールしてほしかった。右サイドの守備が整備されていなかったことから、うしろにも気を配る必要があった。後半は積極的なランニングも見られ、その修正力には今後期待していきたい。

■相馬勇紀(カーザ・ピア)=★★★☆☆(←後半17分IN)
 このチームでは最もウイングバックに慣れているのでは。途中からでも違和感なく入り、4点目の起点に。絶妙クロスでしっかり得点に絡んだ。

■谷口彰悟(アル・ラーヤン)=★★★☆☆
 主将マークを巻いて中央で3バックを統率。カウンターのケアをしつつ、両隣を前へ押し上げる頼もしさを発揮した。相手のレベルが上がった際に、強固な最終ラインが敷けるようにさらに意思統一を図ってもらいたい。

■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★★☆
 ウイングバックの中村のフォローをしながら、3バックの左を務めあげた。「うしろで守ってくれる」という信頼関係が見られ、中村は伸び伸びとプレー。森保ジャパンでは主となっていた左サイドバック(SB)ではなくCB起用に見事に応えた。

■橋岡大樹(ルートン・タウン)=★★☆☆☆
 前半は低くポジションを取り過ぎてしまい、苦戦する場面も。ハーフタイムに全員で修正をかけ、なるべく高い位置を取ろうという改善の意識は顕著に見られた。

ピッチを縦横無尽に駆け回った旗手怜央【写真:徳原隆元】
ピッチを縦横無尽に駆け回った旗手怜央【写真:徳原隆元】

圧倒的な「個」で自らの価値を示した中村 守田&旗手の元川崎コンビの安定感◎

<MF/FW>
■守田英正(スポルティング)=★★★★☆(→後半35分OUT)
 中盤は可変しながらで役割が多かったが、攻守においてタクトを振った。試合中、周囲の選手と細かな声掛けでコミュニケーションを取る姿も。相手のカウンターも何度も高い位置でのインターセプトで食い止め、出足の速さでチームを救った。

■板倉 滉(ボルシアMG)=※出場時間短く採点なし(←後半35分IN)
 久しぶりのボランチ起用。3バックの一角にも入ってもらいたいが、攻撃的な布陣の際、板倉のアンカーも1つの選択肢になるだろう。

■旗手怜央(セルティック)=★★★★☆(→ハーフタイムOUT)
 アジアカップで負傷していなければ……。そう思ってしまうほどの存在感だった。上下運動が激しく、攻撃の時には最前線まで。守備の時には守田と並び、とにかく縦横無尽にピッチを駆けまわった。どこにでも顔を出し、ミドルシュートが入っていればマン・オブ・マッチ級の活躍となった。

■川村拓夢(サンフレッチェ広島)=★★☆☆☆(←ハーフタイムIN)
 45分間のプレーでもう少し、主力にも劣らない力を出してもらいたかった。バランスを取りつつ、大きなミスもなかったが、最前線で攻撃に関わる動きがあっても良かった。ボランチのポジション争いに食い込むためには、決定的な仕事も必要だ。

■堂安 律(フライブルク)=★★★★☆(→ハーフタイムOUT)
 前半だけの出場で1ゴール、下がってボールを受けたり、中へ絞ったりと気を利かせた。鎌田との連係からの崩しは2人の上手さが光り、アウェーでどよめきが起こっていた。ゴールもフィニッシャーとしての嗅覚を発揮した。

■鈴木唯人(ブレンビー)=★★★☆☆(←ハーフタイムIN)
 落ち着き払ったA代表デビュー。臆することなくボールに関与しており、周囲との連係もこれからもっと期待できそう。パリ五輪世代には主軸を脅かす活躍を遂げてもらいたい。

■中村敬斗(スタッド・ランス)=★★★★★
 マン・オブ・ザ・マッチ。日本代表では初挑戦のウイングバックで仕掛け、仕掛け、仕掛け続けた。外に張ってスペースを突き、最も相手の脅威になっていた。“敬斗ゾーン”からのゴールに、芸術的なミドル弾、驚異の跳躍力で決定的なシーンを作ったヘディングシュートが決まっていればハットトリックだった。9戦8発の決定力にはもう説明もいらないだろう。G大阪時代に当時の宮本恒靖監督から与えられた試練のウイングバックから5年、その真価を大いに発揮した。

存在感を示した鎌田大地【写真:高橋 学】
存在感を示した鎌田大地【写真:高橋 学】

頼りになる鎌田、泥臭い小川…異なるスタイルの2人が満点評価

<MF/FW>
■鎌田大地(ラツィオ)=★★★★★(→後半17分OUT)
 日本代表にはやはり不可欠な存在だと知らしめた。ずば抜けたサッカーIQ、天性のセンスで2ゴールを演出。中村の先制点を生み出した一撃で流れを変えるパスは最終予選で訪れる苦しい展開を打開してくれるはず。ボランチ、シャドーを使い分けるポジション取りは見事だった。

■前田大然(セルティック)=★★★☆☆(←後半17分IN)
 後半25分に訪れた決定機を決められなかったのは痛かった。中村がウイングバックで良さを出していただけに、前田の特徴ももう少し出れば。だが、初挑戦のポジションで試行錯誤しながらアップデートしてくれるはずだ。

■小川航基(NECナイメヘン)=★★★★★
 森保ジャパン第2次政権で初先発。前半は献身的に突破口を模索しながら、ゴールがほしいところでのヘディングシュートは調子の良さをうかがわせた。国際Aマッチ出場3試合で5ゴール。1ゴールで終わらず、複数得点できるのはエースに必要な力だろう。明らかに疲労が出る後半アディショナルタイムにボールをキープし、中村へ出した根性のアシストは小川の泥臭さを表していて思わず拍手だった。上田綺世と日本代表の1トップの座を争い、FW陣の底上げを担ってもらいたい。

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