久保建英が指摘した日本サッカーの“弱点” 痛感する世界との差「若くて有望な選手はどんどん使っていくべき」【現地発コラム】
6月4日に23歳の誕生日を迎えた
森保一監督率いる日本代表は6月4日、ミャンマー・ヤンゴンで北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で戦う同国代表戦(6日)に向けて現地での練習をスタートさせた。この日23歳の誕生日を迎えたMF久保建英は日本サッカーの未来について語った。
蒸し暑い気候、突然襲うスコール、野ざらしのロッカールーム……。過酷のミャンマーも久保にとって5年ぶり。当時はまだ18歳だった。今季はレアル・ソシエダでUEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも出場。リーグ7ゴール4アシストと結果も残した。5年前のミャンマー戦では途中出場、当時は練習場も“田んぼ”のようなピッチだった。
「(環境は良く)なっています。前回はドロドロで本当に芝より泥のほうが多かったので、すごく充実しています。それこそ吉田(麻也)選手に5年前の写真を送りますと5時間くらい前にメッセージが来て、見たらすごく若くて、写真の真ん中で原口(元気)選手の隣を陣取っていたという。それだけ。あまり記憶はないけど、記録だけは残っていました」
あれから5年――。日本代表の主軸として帰ってきた。現地在住の子供たちから直接「おめでとう!」と祝福され、「びっくりですね。気づいたら23歳なので。うかうかしているとね、次、気付いたら28歳とかになってもおかしくない。本当になんていうんでしょう、気を引き締めて頑張りたいなと思います」と、“久保節”全開で5年という月日の重要さを示した。
今でこそ日本代表の主軸となった久保だったが、主力として定着するには時間がかかった。初招集から3年が経過した2年前、21歳の誕生日を迎えた久保は壁に立ち向かっていた。直前2日のパラグアイ戦(4-1)で途中出場するも存在感を発揮することはできなかった。この一戦ではこれまで“サブ”としての出番が多かった選手が先発し、のちのカタール・ワールドカップ(W杯)で活躍する鎌田大地や堂安律、三笘薫、浅野拓磨らがゴールやアシストで結果を残した。これに「少し焦りが出た」と複雑な気持ちだったとしていた。そして23歳の今、当時を振り返りつつ、胸の内を明かした。
「(当時は)もともとあれくらいの立ち位置だと思っていたので。自分の評価と周りの評価が合っていなかっただけだった。しっかり僕も結果を出したことで周りにも認めてもらえるようになったけど、本来、周りの同じレベルの若手がどんどん使ってもらっている中で、なんで僕は使ってもらえないんだろう……という気持ちも正直あったので。そこは試合に出て、自分で価値を示すことでしか切り開けないものもありますけど、そういった意味で次の若手も日本代表が強くなりたかったら積極的に使っていくべきだと思いますし、僕ももっと違う未来もあったかもしれないですし。やっぱり若くて有望な選手はどんどん使っていくべきだと思いますね。世界の流れを見ても」
立ち位置を痛感して必死にもがいていた2年前からカタールW杯を経て、今年の1月アジアカップではベスト8敗退という屈辱を味わった。世界への壁、アジアの突き上げを感じつつ、スペインで奮闘する23歳は日本サッカーの発展を真剣に考えている。
「代表の中で序列が変わったというより、チームで僕が結果を残したことによって代表での序列が変わったと思う。代表の序列を代表で変えるのは難しいし、選手個人でどうにかできることではない。国全体として、世界を見たらどんどん16、17歳で良かったら使うという形なので、そこに日本も追いつきたかったら、変に年齢にとらわれず、17、18歳で、これから出てくるかわからないけど、出てきたらどんどん積極的に使ってあげるべき派ですね。僕は」
森保ジャパンの主軸ではいまだに久保が最年少。パリ五輪世代としてはGK鈴木彩艶がコンスタントに選出されているものの、今回招集されたMF鈴木唯人らも含めて久保以外はまだ絶対的な存在とは言えない。パリ世代にとどまらず、2028年ロサンゼルス五輪世代もA代表入りを目指してもらいたいところだ。
「(下の世代が入ってこない危機感は)ありますよ。正直、僕の下が全然入ってこないのはちょっと悲しいというか、いつまでも同じメンツでいるのは代表としても良くない。どんどん新しい風が入っていくべきで。それこそ長友選手みたいにベテランでもある意味新しい風でもあるので、そうやってどんどん新しい風を入れていくべき。それこそ年齢は関係なく、どんどんいい選手が入ってくるべきだと思う。かといって、16、17、18歳で代表に割って入って来られる選手がいるかと言われたら僕はわからないので、そのレベルの選手がどこかにいるなら代表の門を叩いてほしいなと思います」
北中米W杯では優勝を目指している日本。久保を含めて、堂安や冨安健洋ら東京五輪世代は10代でA代表入りしていた。久保が指摘するように順調な世代交代、若手の突き上げがないのが現状。Jリーグデビューは15歳の中学生だった久保が23歳に――。その時の流れを痛感するだけでなく、日本サッカーがそれに見合う発展を遂げられているか、立ち止まって考えていく必要はあるはずだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)