上昇気流の東京V、カギを握る“中盤のリンクマン” 23歳主将が3点リードでも前線へ走る訳
東京VのMF森田晃樹が目指すプレースタイル
東京ヴェルディは6月2日のJ1リーグ第17節で北海道コンサドーレ札幌と対戦し、5-3で勝利した。この試合で東京Vは3失点を喫したものの、相手のプレスをはがす策が奏功し、面白いように得点を重ねていった。
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この場面以外にも東京Vには、さらに得点を奪えるチャンスもあった。1つ目は4-2とリードしていた後半25分、この試合2ゴールを決めることになるFW染野唯月がヘディングシュートを放った場面。そして、もう1つは5-2で迎えた後半40分にDF翁長聖がヘディングシュートを放ちにエリア内に入った場面だ。
2つのシーンで札幌の守備は対応しきれていなかった。しかし、彼らは同じ選手にシュートチャンスを阻止されて交錯する。その選手とは、東京VのキャプテンであるMF森田晃樹だ。染野のシュートに関しては、枠内に飛んだところが森田に当たってブロックする形になった。翁長のシュートシーンでは、2人が交錯して翁長がヘディングを打ちきれなくなった。
ここだけを切り取ると、森田が札幌の12番目の選手になっていたようだった。だが、この試合でも森田はいつものようにハードワークして、中盤のリンクマンとなり、チームにとって欠かせないプレーを見せていた。染野の2点目のゴールの場面をアシストした場面のように、決定的なスルーパスを通す場面もあった。
常にチームのために戦える森田だが、なぜゴール前まで走っていたのか。すでに2点、3点をリードしている状況だ。体力を温存して守備を固めていても間違いではないだろう。そこには森田の描く「理想の選手像」があった。
「自分のなりたい選手像というか、ボックス・トゥ・ボックスの選手なんですけど、ボックスの中に入っていきたいと思っている。あそこは今日みたいな感じになることもありますが、あれで点を決められるシーンも増えると思うので、あそこには入っていきたいなと思います」
その卓越したプレーぶりからは老練さも感じるが、森田はまだ23歳なのだ。染野には冗談めかして「ハットトリックさせないよ」と言ったと笑ったが、この日は不発に終わった彼の試合終盤のランが、チームを救う日はきっと来るはずだ。
(河合 拓 / Taku Kawai)