「ゲームを壊した」 鹿島23歳DF、失点関与→幻ゴール→決勝点に複雑胸中「素直に喜べない」

鹿島23歳DF関川郁万(写真左)【写真:徳原隆元】
鹿島23歳DF関川郁万(写真左)【写真:徳原隆元】

関川郁万はチームの修正力に自信

 鹿島アントラーズの23歳DF関川郁万にとっては、ジェットコースターのような試合だっただろう。6月1日に行われたJ1リーグ第17節の横浜F・マリノス戦、鹿島は前半10分にFWアンデルソン・ロペスに先制点を決められるが、後半に3得点を奪って3-2と逆転勝利を挙げ、勝ち点で首位のFC町田ゼルビアと並んだ。

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 この試合の先制点の場面、自陣からボールを持ち上がった関川は、ボールを奪われて相手のショートカウンターの起点となってしまった。前半32分には汚名返上とばかりにセットプレーからゴールを決めたが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の結果、オフサイドと判定されて得点は幻となる。

 後半に入りエースのFW鈴木優磨の活躍もあって逆転したなか、後半39分には再びセットプレーから関川がゴールを決める。後半アディショナルタイムにゴールを決められたことから、関川のゴールがこの試合の決勝点となっている。

 試合後のミックスゾーンで関川は「ゲームを壊してしまったので、申し訳なさもありましたし、なんとかこのチームを救いたい、勝たせたいっていう気持ちはありました。どういう形でも、得点でも、身体を張った守備でも、チームを助けられたらと思っていました」と、1失点目に絡んだ反省を口にした。最終的に決勝点を挙げたが、「オフサイドもありましたし、ミスからの失点もあったので、素直に喜べない試合だったかなと思います」と、複雑な表情を見せた。

 それでも、この試合の結果、鹿島は直近のリーグ戦は4連勝、8試合負けなし(7勝1分)と勝ち点を重ね続けている。個人としては反省の言葉を述べた関川だが、チームの「修正力」に手ごたえを感じているという。

 好調の要因を問われた関川は、「修正できる能力とは言わないかもしれませんが、去年は逆転勝ちがあまりなかったんです。そういうメンタル的な部分であったり、今年は失点が多い中でも、得点力があったりする。いろいろありますが、前の試合からの修正、試合の中での修正が両方できるようになったのは、強みだと思います」と、コメントしている。

 実際、3-0とリードしながらも3-3の同点にされた東京V戦以降、チームは4連勝を飾っている。この横浜FM戦の中でも、チームがハーフタイムに「守備のことだったり、メンタル面だったり、自分たちのやることに集中するように修正できたと思います」と、関川は流れを変えられたことに胸を張る。

 勝ち点を重ねながら、修正をしていく。「常勝軍団」と呼ばれた当時の鹿島のような戦いぶりが戻ってきつつある。決勝点を挙げながらも、心から満足のいく試合ができなかったという関川は、心の底から喜べる日に向かっていくチームを象徴しているかのようだった。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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