浦和、MF中島翔哉の投入でなぜ変化? 左SBの“証言”で紐解くポジション「時間ができる」
中島は神戸戦でリーグ初ゴールをマーク
浦和レッズのFW中島翔哉は、6月1日のJ1第17節ヴィッセル神戸戦で今季のリーグ戦初ゴールとなる同点弾を決めた。1-1で引き分けたゲームで後半から出場すると、明らかに試合の流れを変えた。
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中島がベンチスタートだった試合の前半は明らかに神戸ペースになった。後方からつないで前進しようとする浦和に対して神戸が出足の鋭さを見せてゲームのペースを奪う形になり、前半15分の先制ゴールだけでなく多くのシュートを放った。結果的に浦和は0-1で前半を終えたが、内容的にはもう少し点差がついてもおかしくなかった。
ペア・マティアス・ヘグモ監督は、この試合に向け負傷離脱から戻ってきた中島を「離脱していた時期もあり、本日は最長で45分という考え方でメンバーに入った」話したが、そのマックスとなるハーフタイム明けの投入に踏み切った。同様の状況だったスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンもピッチに送り込んでノルウェー代表FWオラ・ソルバッケンを右サイドに回すと、前半とは全く異なる表情の試合になった。
浦和がボールを持ち神戸を押し込む状態になり、後半9分と同10分にはMF伊藤敦樹が立て続けにペナルティーエリア内でシュートを放つもわずかに外れた。それでも浦和は後半16分、右サイドでソルバッケンがボールを受けると中央方向へカットインし、ゴール正面に進出してきた中島に丁寧なラストパス。これを受けた中島がゴール右に流し込んで1-1の同点となった。ソルバッケンはこれが来日3試合目の出場で初アシスト。中島は今季のリーグ戦で初ゴールになった。
試合後の中島は「状況的には負けていたので得点を取りにいこうという感じで(入った)。それ以外は入ってみないと分からない。あまりイメージをしてというのは好きじゃない」と話し、流動的にポジションを変えながらボールを引き出す動きも「(全体の中での位置取りは)外から見てもらった方が分かりやすいと思う。空いている所にいるだけという感じ」というコメントだった。
恐らくヒントになるのは、一列後ろの左サイドバックに入っていたDF渡邊凌磨の言葉だろう。中島が入っての変化について「時間ができるので全体的にポジションが取れたり、相手のアクションを見てリアクションでポジションが取れたりする。僕だったら上がっていくタイミングだったり、逆サイドの(伊藤)敦樹がポジションを取るタイミングだったり。ポジションを取る時間ができるのが一番大きいと思う」と話す。
前半は神戸の出足に対して、いい位置を取る前に押しつぶされてしまうような場面は目立った。後半は中島が左サイドから動き、ヘグモ監督が「右サイドにいれば、サイドバックから遠い左足でボールをキープすることができる」と話したソルバッケンが右サイドでキープできる時間を作ったことで浦和は自分たちを整えることができた。また、グスタフソンと中島による卓越した技術を持つ選手同士のパス交換も状況を打開するのに一役買った。
中島は「自分が入ると敵も味方もバランスが崩れる」と自嘲気味に話したこともあったが、今の浦和では中島が左サイドからその時にいいと思うポジションに移動することで局所的な数的優位と流動性ができることが良いスパイスになっている。前後半で全く表情の違うゲームになったが、中島の存在感がピッチ上で異彩を放っていた。