浦和サポ大声援のムード助長「飲まれたかも」 神戸監督が嘆いたミス「実際に失点した」

神戸の吉田孝行監督【写真:徳原隆元】
神戸の吉田孝行監督【写真:徳原隆元】

神戸がアウェーで前半ペース掌握も、浦和の勢いに飲まれドロー決着

 ヴィッセル神戸は6月1日に行われたJ1第17節・浦和レッズとのアウェーゲームに臨んで1-1で引き分けた。前半45分間は完全にペースを奪ったが、後半は逆の展開に。吉田孝行監督は「後半の入りから会場の雰囲気にも飲まれたかもしれない」と話し、そのムードを助長するようなミスが重なったことを嘆いた。

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 立ち上がりの15分は神戸が立て続けに浦和ゴールへと迫った。サイドからのクロスもあれば、FW大迫勇也が狙った直接フリーキック、コーナーキックからMF佐々木大樹が放ったヘディングシュートと次々に浦和ゴールを襲った。そして前半15分には右サイドからのクロスを大迫が中央で競り勝ち、ファーサイドのMF井出遥也が蹴り込んで先制ゴールを奪った。

 その後も神戸は後方からつないで前進しようとする浦和に対して出足の鋭さを見せてゲームのペースを奪った。前半36分にはFW武藤嘉紀のクロスを大迫がダイビングヘッドで狙ったが、GK西川周作がセーブ。1点差で前半を終えた。

 しかし、後半に入ると選手交代も駆使してリズムを変えてきた浦和に一気に押し込まれた。吉田監督は「前半と後半で少し流れが違ったと思う。前半は自分たちのリズムででき、得点も生まれた。多少相手に持たれてもそんなにピンチはなかった。後半は相手が負けている状況で前に前に来る中で、後半の入りから会場の雰囲気にも飲まれたかもしれない」と話す。

 浦和のホームで大声援に包まれる雰囲気を助長してしまった要因として、吉田監督は奪った次のボールでのロストを挙げた。そして「カウンターを受け、会場の雰囲気も乗っていく。それによりリトリート、うしろでブロックを組む守備になってしまった。奪ったボールを相手陣内へ一気に攻めるのか、押し込むのか、それともカウンターで自陣まで戻らないといけないのか」と、1つのパスが次の展開を変える面に触れた。

 浦和の同点ゴールは典型例だったかもしれない。右サイドの高い位置でMF山口蛍がボールを奪取するも、大迫へのパスがズレた。天を仰ぐ山口を尻目に浦和は一気にカウンターを仕掛け、右サイドのFWオラ・ソルバッケンを経由してゴール正面のFW中島翔哉にミドルを決められた。ソルバッケンから中島へのパスをカットしようと全力で戻った山口が必死にスライディングしていたが及ばなかっただけに、指揮官も「奪ったボールの1つ目のパスがミスになるのが3回くらい続き、実際にそこから失点もした」と悔しがった。

 2連敗のあとに迎えたゲームで立ち上がりからの圧力には強烈な迫力があった。それだけに、相手に勢いを与えてしまうような後半の入り方が勝ち点3を遠ざけてしまった。吉田監督は「この勝ち点1をポジティブに捉えて、またやっていきたい」と前を向いていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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