久保建英がソシエダで見据える来シーズン「もっと求めていけたら」 来日ツアーから紐解く“去就の現在地”【コラム】

去就が注目される久保建英【写真:徳原隆元】
去就が注目される久保建英【写真:徳原隆元】

移籍が騒がれるなか、ソシエダが来日ツアー実施

 スペイン1部レアル・ソシエダは5月29日、「JAPAN TOUR 2024」で東京ヴェルディと対戦し、2-0で勝利を収めた。日本代表MF久保建英は先発を飾り、後半3分までプレー。5月27日に来日し、28日に公開練習を行い、29日の試合と、タイトなスケジュールとなったなか、今夏の去就に注目が集まっている久保の今後の動向を、この来日ツアーでの言動をもとに考察する。

 シーズン終了直後で、来月に欧州選手権(EURO2024)が控えていることもあり、ソシエダは主力の大半が招集外となった一方、母国でのプレシーズンマッチということもあり、久保は選出された。前日練習での囲み取材では、パリ五輪の不参加にスポットライトが当たることになったが、「みんなで話し合ったうえでの結論なので、特に僕からは、どうしても行きたかった、といったような話もないですし、クラブとしても大前提として難しいということで納得している」とコメントしている。

 一方、「クラブとしても大前提として難しい」ということは、ソシエダ側も五輪出場は避けてほしかった意志を明確にしていたことになるが、来季も久保に中心選手として活躍してもらうために、夏の期間に十分に休息を取ってほしいという意向も窺える。

 実際、久保の後に囲み取材に対応したイマノル監督も「クラブにとっては非常にありがたいこと。シーズンを通して疲労が溜まっていたので、彼に休みをいただけるというのは、クラブにとってもいい影響がある。五輪に出場しないということは、クラブが彼に休ませる時間を与えられるということなので、プレシーズンに向けても有益となる」と発言している。

 今後の久保について尋ねられた際は、「彼はまだまだ若く、そもそも備えているポテンシャルをさらに伸ばすことができると思っている」と、自らの指揮の下、今後も久保を成長させることができる自信を覗かせていた。少なからずイマノル監督は今夏での久保の放出を想定していない様子だった。

東京V戦ではスタメン出場した【写真:徳原隆元】
東京V戦ではスタメン出場した【写真:徳原隆元】

自然と口にした「僕たちが来季躍進するため」

 また、久保においても同様、今夏はソシエダに留まって戦っていく姿勢が見受けられた。試合後の囲み取材では「ウルコ(・ゴンサレス・デ・サラテ)であれ、(ベニャ・)トゥリエンテスであれ、(マルティン・)スビメンディであれ、ボランチの底の選手が、たぶんこのチームで一番上手いと思う」と、現チームの特長を分析したうえで「僕たちが来季躍進するための鍵になってくる。彼らに感謝しつつ、もっと求めていけたらと思います」と発言している。

 自然と「僕たちが来季躍進するため」といった言葉を口にする姿を見ても、現時点で久保が退団を見据えているようには映らなかった。試合後、クラブが来季の新ユニフォームを発表したなか、お披露目の映像に久保の姿がなかったことから移籍の噂が再燃している状況にあるものの、MFマルティン・スビメンディ、DFロビン・ル・ノルマン、MFミケル・メリーノといった主力勢も久保と同じく登場していない。

 このことから、「移籍の可能性が高いから映像に出ていない」のではなく「残留が確定的となっている選手を映像に出した」と考えるのが妥当で、移籍の可能性がゼロというわけではないが、決して高いと言えるわけでもない、といった現在地なのではないだろうか。当然、ビッグクラブから巨額のオファーが届き電撃移籍といった展開が待ち受けている可能性も十分にあるため、状況が二転三転することも予想されるが、少なくとも現時点では久保、そしてチームは、残留を想定して来季を見据えている様相だった。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)

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