J1でハンド反則→PK取り消し 元主審がVAR経緯を解説、再開方法は明確な規定なし

一度はハンドの反則を受けた森重【写真:徳原隆元】
一度はハンドの反則を受けた森重【写真:徳原隆元】

FC東京対京都の一戦で起こったシーンについて議論

 スポーツチャンネル「DAZN」による、今シーズンの審判に関する新番組「Jリーグ審判レポート」が配信され、5月3日のJ1リーグ第11節、FC東京と京都サンガF.C.の試合で終了間際にハンドの反則を取り消した場面について、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)との音声も公開しながら取り上げられた。

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 この場面は後半アディショナルタイム、京都が攻撃した場面でFW平賀大空のヘディングシュートをFC東京のDF森重真人がブロック。この場面で岡部拓人主審は森重のハンドとしてPKのジャッジをしたものの、VARの介入でオンフィールドレビューを行い、映像を確認したうえでハンドではないと判断してPKを取り消した。また、この場面で再開方法はFC東京のGK波多野豪へのドロップボールになった。

 VARの中村太氏、AVARの高崎航地氏と岡部レフェリーを交えた会話の音声では、主審からは「手に当たっている」という声があり、PKの判定。VARの両名も「ポッシブルハンド」として映像確認に移行するが「でも(森重の腕が)閉じているな」と、ハンドの判定に対する検証がされていた。そして、中村VARが「ハンドじゃないな、(腕が)閉まっているな」と岡部レフェリーに見せる映像を選択したうえでオンフィールドレビューを勧めることを決断。岡部レフェリーは映像を見たうえで「そうだね、OK」とPK取り消しに同意していた。

 ゲスト出演した元日本代表DF坪井慶介氏は「あそこの声は聞けないのですごく新鮮。時間が掛かるなあと思っちゃうときもあったけど、ちゃんとした情報交換をしながら確実なレフェリングをしながら細かいところの努力をしているのを知れたので良かった」と話した。

 現役時代にJ1で数多くの試合を担当した日本サッカー協会(JFA)審判マネジャーの村上伸次氏は、「レフェリーは手に当たっていることは理解している。ポジションもいい。ちょっと間があって(PKの)笛を吹いている。これは憶測なんですが、手前側のアシスタントレフェリーから情報が入ったかもしれない。それで若干、タイミングが遅れた。クロスボールが上がった時に、FC東京の選手が3人くらい同じところに入ってくる。そこからハンドなど色々なものを見ないといけないので、レフェリーが判断するのは4個か5個くらいある」と、判定について解説していた。

 また、判定の妥当性について村上マネジャーは「腕が(身体の幅の)中に入っていて不自然に身体を大きくしていない。手に(ボールは)当たっているが、ノーハンドで問題ないシーン」と話した。そして、再開方法については「海外の試合を見ると、同じようなシーンでコーナーキックで再開する場合もある。ただ、日本ではこの再開方法でやると決めている」と話した。この再開方法については、JFA審判委員会によるブリーフィングでも競技規則に明確な規定がないものであり、各国のリーグによって扱いが異なると説明されていた。

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