リーグ2連覇の浦和L、20得点のエース退団決定も監督が「チームの基準は維持できる」と語る訳
清家の退団決定…どれだけ伸びしろを作れるか
三菱重工浦和レッズレディースは、5月25日に行われたWEリーグ最終節で日テレ・東京ベレーザと3-3で引き分けた。すでに優勝を決めた状態で臨んだ試合を終え、来季も継続して指揮を執ることが発表された楠瀬直木監督は「もっと強度を上げていかないと」と話した。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
浦和は前半の立ち上がりにDF高橋はながパスコースを探している瞬間を相手FW鈴木陽に奪われて失点。さらにセットプレーで1点を失うと、MF清家貴子が1点を返したものの前半終了間際にはクロスを高橋がクリアしきれなかったところから3点目を奪われた。それでも後半に高橋をFWに上げて2トップに変更するとロングボールを生かしながら押し込み、セットプレーからのゴールと清家の同点ゴールで引き分けに持ち込んだ。
浦和は5月12日に試合のないタイミングで2位のINAC神戸レオネッサが敗れたことで、2試合を残しての優勝が決まっていた。シーズン前半戦で引き分けだったINAC、ベレーザの両チームとの対戦を残していただけに、その上位対決での勝利をモチベーションに戦った。楠瀬監督は「特に今日は優勝が決まったけれどもINACとベレーザに勝ってこそ真の王者と言っていたが、緩いところが出た」と渋い表情だった。
一方で、すでに楠瀬監督の契約更新が発表され、来季も同じ体制で3連覇に挑むことが決まっている。22試合20得点という爆発的なスコアを残した清家の海外移籍による退団も決まり、追われる立場として臨むシーズンには上積みが求められる。
指揮官は「伸びしろとしては、(ポジション争いの)競争が出てきた。世代交代と言ってベテランを追い出すのではないけど、角田(楓佳)のようにチャレンジさせていいかなという選手もいる。それを跳ね返す塩越(柚歩)、柴田(華絵)、栗島(朱里)もいる。チームの基準は維持できるだろう」と話し、「もっと強度を上げていかないといけない」とまとめた。
来季はAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)の開幕も決まっている。大会方式や開催時期に不透明な部分は多いが、国内での2つのカップ戦と合わせ4つの大会を戦うのは確実視される。楠瀬監督は優勝後の会見でシーズン後半戦にメンバー固定傾向になった采配を反省していただけに「なでしこジャパンに入ってW杯に行ったら中3日、中4日でやるのは当たり前。試合が増えるのは大歓迎。試合が増えても、誰が出てもいいメンバーで勝つことを目指したい。選手をもっと信用して出してあげていかないと。連戦をどんな選手でも戦えるようになりたい」と話した。
清家は退団するものの、1月に大きな負傷があったMF猶本光とFW安藤梢も来季に向けて復帰を目指す。現状維持では追い抜かれていくのがサッカー界の常でもあるだけに、どれだけ伸びしろを作り出していけるかがポイントになりそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)