横浜FM→スイス名門行き日本人、ACL制覇王手の古巣へ「アウェーの洗礼がありそうだけど頑張ってほしい」【現地発】

西村拓真が古巣の横浜FMにエール【写真:Getty Images】
西村拓真が古巣の横浜FMにエール【写真:Getty Images】

西村拓真が古巣に感謝「マリノスで経験できたことは大きく自分を成長させてくれた」

 現地時間5月25日(日本時間26日午前1時キックオフ)に行われるAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦。アル・アイン(UAE)のホームに乗り込む横浜F・マリノスに、スイスから力強い応援エールが届いた。

 現在セルヴェットFCでプレーする日本代表FW西村拓真が、ヤングボーイズ・ベルンとのホーム最終戦後のミックスゾーンで、古巣について言及。ACL優勝を懸けた戦いに臨むなか、「頑張ってほしいです!」と元気な声で答えた。

 西村は18年夏にベガルタ仙台からCSKAモスクワ(ロシア)へ移籍。20年にポルティモネンセ(ポルトガル)へ移籍したものの新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり仙台へ復帰。その後移った横浜FMでは22年のリーグ優勝に大きく貢献した。

 そんな西村が風光明媚なレマン湖畔のジュネーブに本拠を置くセルヴェットで奮闘している。セルヴェットでは今季ここまで13試合に出場し3得点。直近4試合でスタメンが1試合とまだレギュラーポジションを確保できてはいない。

 リーグ第37節ヤングボーイズ戦では先発出場。「監督からは動きすぎず、ゴール前にいてくれっていうことをずっと言われているので、そこを意識していました」と話す西村は、前線で精力的な動きを見せるが、シュートチャンスにつながるプレーは残念ながらあまり見せられなかった。センターに陣取り続けた結果、ヤングボーイズの大型センターバックのマンマークを受けることになり、どことなく窮屈そうにプレーしている印象を受けた。

「もう少し賢く、自分らしさを出せれば良かったかなと思います。素直に戦っちゃってた部分があったんで。もう少し賢くやれば良かったなと」

 監督から求められているプレーと自身の特徴との間で迷いがないわけではない。自身として思うこともあるだろう。

「求められてるものと自分がしたいところのギャップはありますけど、いろんなことを考えながら。個人としてやっぱりレベルアップしていかなくちゃいけないと思います」

 さらなる成長へ向けて邁進している西村を支えるのは、横浜FMで過ごした大事な時間だ。

「マリノスで経験できたことは大きく自分を成長させてくれた」

 そう感謝の言葉を口にする。ホームでのACL決勝第1戦でアル・アインに2-1と先勝した横浜FMがアジア王者まであと一歩に迫るなか、仲間たちに心からのエールを送る。思いは1つだ。

「アウェーの洗礼がありそうですし、怪我人も多くて簡単じゃないと思いますけど、頑張ってほしいです」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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