「アップの時に驚いた」 今季初出場の鹿島MF柴崎岳、敗戦後に先頭でゴール裏へ向かった訳
鹿島はルヴァン杯1stラウンド3回戦で町田に0-2で敗戦
鹿島アントラーズは5月22日に行われたルヴァンカップ1stラウンド3回戦でFC町田ゼルビアと対戦し、0-2で敗れて3回戦敗退となった。ボールを保持しても、なかなかシュートまでいけないもどかしい展開で、3月9日のリーグ戦に続いて町田に敗れた。
ランコ・ポポヴィッチ監督が、「この試合で数少ないポジティブなこと」と話したのが、MF柴崎岳の復帰だ。チームのキャプテンであり、10番は後半19分からピッチに立ち、試合終了のホイッスルまでプレーした。
「今日、岳が試合終了までピッチに立ってくれたことはポジティブでした。岳が入った時間帯は、すでに(0-2と)リードされていた。なかなか難しい展開で入ったため、彼自身のすべてが見せられたわけではないし、試合からも長期間離れていた。皆さんも彼の能力、クオリティーはご存知だと思うが、大事なのはピッチに最後まで無事に立ち続けてくれたこと。もちろん、この試合にしっかり勝ち、彼の復帰戦を飾れたらそれ以上はなかったが、試合はまだまだこれからも続く。彼の力をしっかり見せてくれることを期待しています」
柴崎も「個人的には試合に絡めて良かったなと思います。今シーズン初出場して、ある程度の時間プレーできたのは、個人的な感覚としては良かったかなと思います」と、復帰できたことに安堵。一方で、「チームとして疲労もありました。オープンな展開の中でやれることも限られた。チームとして、個人的にはこうしたかったというのがありますが、それはチーム全体でやらなきゃいけないことでもあるので。そこを統一するのは、あの時間帯、あの状況では至難の業だったかなと思います」と、流れを変え切れなかったことを悔しがった。
この試合、鹿島のファン・サポーターはゴール裏を真っ赤に染めてホームのような雰囲気を作り上げた。そのなかで待望の今シーズン初出場となった柴崎だが、試合後にはタイトルを1つ落としたことで、チームメイトたちとともにブーイングを浴びることとなった。先頭に立ってゴール裏に向かった柴崎は、サポーターの声をしっかり聞かないといけないと、考えていたという。
「サポーターは本当に残念な思いをしたと思います。本当にたくさんの人が町田まで応援しに来てくれていました。アップの時に見て驚きましたし、そういった思いを勝利という形で届けられなかったことが本当に残念です。サポーターの声だったり、思いというものを受け止めるために、少し長く、時間を取って試合後にもゴール裏にいたつもりですし、そういった声を自分たちも受け止めて、これからのリーグ戦、天皇杯を含めて向かっていかないといけないかなと思っています。それは選手全員、同じ気持ちだと思います。負けていいと思っている選手なんていないですし、そこはチーム全員でやっていきたい」
復帰戦を勝利で飾ることはできなかった柴崎だが、リーグで上位争いをしているチームにとっても、その復帰は大きいだろう。「チームでやるべきことを統一したい。これからやれることはたくさんあると思います。フィットネスの部分も上げていかないといけないし、徐々に出場機会を伸ばしてコンディションを上げていけばいい」と語った10番は、8年ぶりのタイトルをもたらすために戻ってきた。
(河合 拓 / Taku Kawai)