A代表へ試すべきJリーガー7選 OBが6月シリーズ考察…SBで期待の「攻撃的」選択肢は?【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】左SBは現状「物足りない」…攻撃的選択肢のテスト推奨
森保一監督率いる日本代表は、6月6日に敵地でミャンマー代表、11日にホームでシリア代表と北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で対戦する。すでに最終予選行きの切符を手にしている森保ジャパンにとっては事実上の消化試合となり、思い切ってテスト色を強めることもできる。元日本代表DF栗原勇蔵氏に、6月シリーズで試してみたいJリーガーを訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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森保ジャパンの課題の1つは左サイドバック(SB)だ。DF中山雄太(ハダースフィールド・タウン)やDF伊藤洋輝(シュツットガルト)が主力扱いとなるが、日本代表OB栗原氏は「2人とも経験はありますけど、物足りなさは否めない。そして、どちらかというと守備的な選手」と言及。そのうえで「攻撃的なSBも選択肢として置いておきたい。森保監督には無難ではなく、チャレンジしてほしい」と提言した。
栗原氏が候補に挙げたのがDF永戸勝也(横浜F・マリノス/リーグ戦6試合1得点)とDF松原后(ジュビロ磐田/リーグ戦13試合1得点)だ。
永戸は昨年10月に右ハムストリングの肉離れで全治5か月の重傷を負ったが、今季復活。ベガルタ仙台時代の2020年には、自慢の左足からJ1リーグトップの10アシストを生み出した。栗原氏は「足元の技術に優れていて、フリーキック(FK)でブレ球も蹴れる。怪我明けでまだ本調子までは至ってないですけど、国際Aマッチで海外の選手とやって慣れれば、それなりに渡り合えるはず」と期待を寄せた。
また、ベルギー1部シント=トロイデンでのプレー経験を持つ松原に関しては、「左利きでとにかくタフな選手。(5月3日の第11節)マリノス戦を見ていて、ずっとアップダウンしているなと。熱くなりやすい部分はありますけど、年齢を重ねて円熟味が増し、面白い存在だと思います」と語った。
町田の平河&藤尾は新たな風をもたらすか
MF三笘薫(ブライトン)が腰の怪我で長期離脱中、MF伊東純也(スタッド・ランス)の招集が不透明なアタッカーには、昇格組であるFC町田ゼルビアの快進撃を支えるFW平河悠(リーグ戦11試合1得点)とFW藤尾翔太(リーグ戦11試合5得点)が面白い存在だと話す。
「平河は(5月15日の第14節)セレッソ大阪戦で50メートル近い距離を疾走するドリブルがありました。森保ジャパンのウイングに合う選手で、今の代表にはあのタイプはいない。置いておくだけでも選択肢が広がるし、途中投入でも面白い。藤尾は平河よりもゴールに近いポジションで起用されていますが、その活躍により今の町田の快進撃がある。スピードもあって身体も強く、中でも外でも使える。五輪はもちろん、A代表の争いに入ってきてもおかしくないと考えています」
栗原氏はそのほかに、「(元日本代表FW)岡崎慎司みたいな感じ。走れるし、自分でも行けるし、ゴール前での嗅覚もある」とFW大橋祐紀(サンフレッチェ広島/リーグ戦12試合7得点)を評価。同じくリーグ3位タイの7得点(15試合出場)を挙げている宮代大聖(ヴィッセル神戸)についても、「万能型だからどうフィットさせるか」と候補の一角に挙げた。
そして、栗原氏が最もオススメの選手に挙げたのがDF三國ケネディエブス(名古屋グランパス/リーグ戦15試合1得点)だ。身長193センチを誇る23歳を「スケールがデカい」と絶賛。「大きいけどスピードがあって、ヘディングも強い。粗削りですけど、海外に行ける器だと思います。こういう選手をどういう風に伸ばせて行けるかも大事」と伸びしろに期待していた。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。