横浜FMアカデミー育ち「本当に感謝」 古巣対戦へ特別な思い「今はFC東京の選手」
FC東京MF遠藤渓太が怪我から回復傾向
FC東京は5月19日のJ1リーグ第15節で横浜F・マリノスと対戦する。この試合に人一倍燃えているのが、横浜FMのアカデミー育ちであり、2016年から20年までトップチームで103試合に出場したMF遠藤渓太だ。
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2020年からドイツに活躍の場を移していた遠藤は、今年1月からFC東京に加入。当初はレンタル移籍だったが、完全移籍することが発表された翌日の東京ヴェルディ戦(2-2)では、2ゴールを挙げる活躍を見せて24年ぶりの東京ダービーでヒーローとなった。しかし、続くFC町田ゼルビア戦(1-2)にフル出場したが、この試合で負傷して戦列を離れている。
この町田戦まで数字もついてきていた遠藤は「本当に自分でも怪我をしていると思わなかった。町田戦、本当に3年ぶり、4年ぶりくらいに90分公式戦に出て、終わったら自分も怪我に気付いていなかった。それくらいがむしゃらにやった結果の怪我だったし、後悔はないけど、怪我をする身体を作ってしまったのは自分の落ち度。そういう意味では、今後、こういった筋肉系のトラブルがないようにしていきたい」と、反省した。
5月17日の練習には部分合流して順調な回復具合を見せた。練習後には「この試合(横浜FM)を目指してやってきた」と、古巣との一戦への思いを切り出した。
「やっぱり僕にとっては特別なクラブなのは間違いないですし、チームが(名古屋グランパス戦で)痛い敗戦をした後に、チームに復帰できるかもしれないのはポジティブに考えたい。怪我をしたのは自分のせいでもあると思うし、チームに迷惑をかけたのが、俺を含め、ほかの怪我をしている選手を含め、やっぱり自覚を持たなきゃいけないと思う。そういう意味でも、ここから自分がチームに何をもたらせるかを考えたい」
前節、FC東京は名古屋グランパスを相手に5試合ぶりとなる黒星を喫した。その敗戦について遠藤は「いろいろあって負けたけど、別にあの1試合で何かを否定したり、自分たちのやっているサッカーを否定するのは違うと思う。そういうことをする人は、ナンセンスだなと思う。そんな1試合で、マイナスのモチベーションを持ってくるような人はこのチームにはいない。監督、選手を含め、次に向かっていければいいなと思います」と、しっかり切り替えられていることを強調した。
現在、横浜FMはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝に進出。第1戦を2-1で勝利して、アジア王者に王手をかけている状態だ。遠藤が横浜FMに所属していた2020年は、アンジェ・ポステコグルー監督(現トッテナム監督)がチームを率いており、現在のチームの土台を作っているような段階だった。
当時の横浜FMについて「どこが相手とかも、考えないようにしていました。(ポステコグルー)監督もよく言っていましたけど、『自分たちが相手のことを考え始めたら、もうその時点でスタートから負けているよ』という風に言われていたし、川崎(フロンターレ)と対戦する時とか、鹿島(アントラーズ)とやる時とかって、ちょっと身構えるじゃないですか?」と回顧する。
「そういうふうに身構えた時点で正直、向こうの勝ちだと思う。そういう意味では今回の横浜FM戦についても、ちらほら選手に聞いていると『マリノス強いよ』と言っていますが、そういうメンタリティーでぶつかっちゃいけないと思います。真正面から殴り合って、自分たちの方が強いと見せつける必要があると思います」
そのうえで「こういうのは言うのは簡単ですが、蓋を開けてみたらいない可能性もありますけど」と、まだ復帰を目指している段階であることを再認識した遠藤。ポステコグルー監督の下でコーチを務めていたピーター・クラモフスキー監督のチーム作りは、現トッテナムの指揮官と共通している部分もあると感じているようだ。
「今のチームも、そんなに相手の戦術を分析していない。自分たちの振り返りというか、自分たちがどういうサッカーをするかに目をあてていますし、マリノスもそういうチームだと思います。ボス(ポステコグルー監督)のサッカーと今のサッカーはそれはそれで違うし、選手もチームも違う。ボスのサッカーを目指しているわけではない。それはマリノスも同じだと思うし、FC東京のサッカーで勝負できればいいなと思います」
そして、「(2ゴールを挙げた)ダービーよりも、(個人的には)気持ちが入りますよね。マリノスだし。ブーイングされるのかは分からないですけど。でも本当に感謝はしています。今回の移籍の中でもいろいろなことがありましたけど、マイナスな感情はないですし、今はFC東京の選手。とはいえ、マリノスはチャンピオンのチームなので、そういう相手に向かっていけるようにしたい」と、改めて特別な相手である古巣との一戦への思いを口にした。
(河合 拓 / Taku Kawai)