「中途半端では説得力ない」 日本代表OBが五輪OA枠に持論、パリに連れて行くべき3人は?【見解】
元日本代表DF栗原勇蔵氏は冨安、板倉、上田の3人を「理想」のオーバーエイジに選出
大岩剛監督率いるU-23日本代表は、U-23アジアカップで優勝を果たし、今回に行われるパリ五輪の出場権を獲得した。アジアカップの23人から五輪本大会では18人に登録メンバーが減るため、メンバー選考とともにオーバーエイジ3枠の活用法にも注目が集まる。元日本代表DF栗原勇蔵氏はセンターバック(CB)とセンターフォワード(CF)にオーバーエイジを使うべきだと見解を述べた。
日本はカタールで開催されたU-23アジアカップで、2016年以来2度目の大会制覇を果たすとともに、8大会連続となる五輪出場を決めた。これを受け、パリ五輪本大会では、パラグアイ、マリ、イスラエルが同居するグループDに入ることも決まった。
U-23アジアカップではFW細谷真大やMF松木玖生、GK小久保玲央ブライアンといった選手が注目を集めたが、五輪メンバー18人を選ぶうえでは、オーバーエイジ3枠を使うのか、また誰を選ぶのかも大きな焦点となる。
日本代表OB栗原氏は「オーバーエイジは理想でしか語れない」と前置きしつつ、大岩ジャパンの戦力状況に関して、「中盤はキャプテンの藤田譲瑠チマや松木玖生らタレントは結構いる。サイドバックは以前なら菅原由勢がいれば雰囲気も良くなりそうだし、呼ばれてもおかしくはなかったですけど、今はA代表でバシっとハマっている選手がいないので呼びづらい」として、CB2枚、CFに1枚オーバーエイジを呼ぶべきだと語る。
「3月の親善試合マリ戦(1-3)を見ても、守備陣はまだまだ経験不足。現段階で戦力を上げるのであれば短期決戦では冨安健洋、板倉滉は使いたい。冨安を呼べるなら、ほかのオーバーエイジ2枠は諦めてもいいくらいだと思います」
栗原氏はCBのオーバーエイジ候補に冨安、板倉、町田浩樹の名前を挙げた。一方で、CFにはFW上田綺世、タイプの異なるFW前田大然を候補に指名している。
「細谷がいますけど、FWの切り札・オプションは持っておいたほうがいい。上田綺世を呼ぶのはありだし、プレスでスイッチを入れる戦い方なら前田大然も面白い。細谷もスピードがありますが、前田大然とはタイプが違うので」
栗原氏は、「Jリーグで呼ぶのであれば大迫勇也」と語りつつ、「抜けている存在を呼ばないとオーバーエイジを使う意味がない」とオーバーエイジを使う意義について説いた。
「中途半端ではダメ。今まで築いてきたコンビネーションのほうが上になってしまうし、バランスも崩してしまう。オーバーエイジが気を使っているようではダメだし、背中を見せてついてこさせるくらいの存在が必要。短期決戦なのでパフォーマンスで見せられないと、周囲もついてこない。やられたりすると説得力もなくなる。それならU-23世代の選手を使って経験も積ませたほうがいい。昌子源もいい選手ですが、個人的には近年の内容を考えると厳しいのではないかと思います」
大岩監督はオーバーエイジに関する発言にも慎重な姿勢を貫いているが、どのような決断を下すことになるのか、目が離せない。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。