監督へ「なにこれ?」…良好関係で浦和Lが連覇 なでしこ戦士不在をどう乗り越えたのか

浦和Lはさいたま市内で記者会見を開いた【写真:轡田哲朗】
浦和Lはさいたま市内で記者会見を開いた【写真:轡田哲朗】

浦和Lはさいたま市内で記者会見を開いた

 三菱重工浦和レッズレディース(浦和L)は、5月12日に2位のINAC神戸レオネッサが敗れたことで2シーズン連続の優勝が決まった。この日に試合がなかった浦和Lは、さいたま市内で記者会見を実施して喜びの声を残した。

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 浦和Lは5月10日に開催されたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレ大会「AFC Women’s Club Championship 2023 – Invitational Tournament(AWCC)」の決勝のため、リーグ戦の試合を1試合先行開催して20試合を終え勝ち点53だった。そして、12日に勝ち点7差で追う2位のINACがジェフ千葉レディースに1-2で敗れたことで2試合を残して浦和Lの優勝が決まった。WEリーグ初年度にINACが優勝し、2シーズン目から浦和Lが連覇という成績になった。

 楠瀬直木監督は「まさか今日、決まると思っていなかった。正直なところ、ホッとしている」と話し、主将のMF柴田華絵も「優勝した実感はあまりないけど、ホッとしている」としたが、MF清家貴子は「2人はホッとしたと話していたが、自分は結果を見て叫んでしまうほど嬉しかった。2試合残っているけど、それをいったん忘れて手放しで喜びたい気持ち。優勝を目標にしていたので、それが叶えられてただただ嬉しいというのが一番」と喜びを表現した。

 浦和は清家が10試合連続ゴールを含むランキングトップの17得点、MF塩越柚歩がランキングトップの9アシストをするなど50得点の攻撃力が大きな武器。なでしこジャパンMF猶本光と昨季MVPのMF安藤梢が1月20日に行われた皇后杯の準決勝、同じ試合で主力2人が揃って膝の前十字靭帯を損傷してシーズン絶望となる緊急事態もあったが、チーム力を落とさずに乗り切った。

 戦力的に痛い出来事だったのは間違いないことだが、楠瀬監督は「清家や塩越が責任感を持って良く動いていた。それを見て、たくましくなったなと。今も清家が本当に嬉しいと言ってくれた。去年だったらどうなのかなと。責任感が本当に出て、自分のチームだと思ってくれてるのかなと思う。安藤と猶本に引っ張ってもらったところがあるので、皇后杯が成長や、やらなきゃとなったポイントかなと思う」と、そのアクシデントを乗り越えたことについて話した。

 楠瀬監督は「本当に選手のおかげ。まとめてくれた柴田、清家もあんなに点を取ってくれる選手はなかなかいない。個性豊かで才能ある選手がいる」として、「スタッフや周りの人の熱量を合わせることは気にしていて、『楠瀬レッズ』とか言われるのは好きじゃない。選手が一番で、スタッフにもやる気があって、かなり任せている。これが自分のチームとみんなが思ってくれれば、ちょっとしたことを気にしてくれる。そういう熱量を合わせること。選手に恵まれて、毎日ありがたく練習をさせてもらっている」と話した。

 柴田は楠瀬監督について「俺について来いというタイプではないけど、その言葉や一言を選手たちは考えながらできている。そういう信頼関係ではないけど、信じてくれているから選手も信じるというところ」と話した。また、清家は「急に『なにこれ?』みたいなことを言って、それが選手の話題になるけど、選手はその言葉を中心にまとまる。そういうつもりかどうか分からないけど、結果としてチームがまとまる。なんだかんだ選手も監督のことが好きだと思うし、選手への愛も伝わるので、一体感やチーム力がレッズレディースの強さ」と話していた。

 WEリーグとしての優勝セレモニーは5月25日のリーグ最終節、浦和駒場スタジアムで行われる日テレ・東京ベレーザ戦後に行われる。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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