攻撃オプションとして「有効」 鎌田大地は6月シリーズで代表復帰させるべき【前園真聖コラム】

ラツィオでプレーする鎌田大地【写真:Getty Images】
ラツィオでプレーする鎌田大地【写真:Getty Images】

イタリアは監督の好みで選手起用が左右

 ドイツ1部フランクフルトからイタリア1部ラツィオに移籍し、順調にステップアップしたように思えた鎌田大地だったが、ベンチ外となる日が続くこともあって苦労していた。だが、ここにきて監督の信頼を勝ち取り復調したように思える。鎌田は今シーズンまでと言われている契約を更新したほうがいいのか。また、鎌田不在の間に進んだ日本代表のチーム作りのなかでポジションを争う選手たちが成長した姿を見せている。果たして、鎌田は再び日本代表で輝けるのだろうか。元日本代表MF前園真聖氏に、鎌田の去就と日本代表の立場について分析してもらった。(取材・構成=森雅史)

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 今の海外組で動向が気になるのは鎌田大地です。今シーズンまでとされる契約はどうなるのか、また日本代表での立場はどうなのか、と考えてしまいます。

 2023-24シーズンは鎌田にとって大変な年だったと思います。マウリツィオ・サッリ前監督は鎌田を信頼していませんでした。シーズン当初こそ先発で起用していましたが、2023年9月のドイツ戦・トルコ戦を終えたあとに合流すると、直後のユベントス戦で起用したあとはほぼ先発から外し、ベンチ外も続きました。

 イタリアでは、選手起用に監督の好みというのが特に反映されます。長友佑都(FC東京)にしても本田圭佑にしても、インテルやACミランで出られない時期が続いたことから分かると思います。

 また、鎌田にしてもモチベーションがプレーと表情に出やすい選手です。そのため監督からの信頼が感じられて、自分が任されていると思ったときは生き生きとプレーしますし、もの凄いパワーを出しています。ところが、そうでない時は淡々と冷静にやっているプレーに闘争心がないように見えるのです。

 サッリ前監督との相性はとても悪かったのでしょう。あのままだったら移籍したほうが良かったと思います。ところが2024年3月にイゴール・トゥードル新監督になって鎌田は信頼を勝ち取ると、打って変わって本来の力を発揮するようになりました。

先発出場は難しくとも鎌田に存在価値あり

 4月27日のベローナ戦ではスローインの受け手に素早く寄せてボールをカットするとペナルティエリアに侵入し、広い視野で逆サイドから上がってくる選手への丁寧なパスを供給して決定機を演出しました。5月4日のモンツァ戦では鎌田のペナルティエリアの外からのシュートをGKが弾いたところを味方が詰めて先制点になりました。

 鎌田にとってはこうやってチームの中心としてプレーすることが、輝くためには必要でしょう。2025年6月までの契約があるトゥードル監督が来季もちゃんと指揮を執るなら、僕はラツィオにいたほうが鎌田にとっていいのではないかと思います。

 では、日本代表に復帰するとして鎌田のポジションはあるのか。日本代表の主力級の選手の中で、鎌田は2023年11月16日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選初戦のミャンマー戦でプレーして以来、半年招集されていません。

 その間に開催されたアジアカップでは、インサイドハーフとして久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)が地位を固めつつありましたし、堂安律(フライブルク/ドイツ)も出場すればきちんと結果を出しています。また、南野拓実(ASモナコ/フランス)の好調ぶりも見逃せません。

 ボランチで考えると、遠藤航(リバプール/イングランド)は外せませんし、守田英正(スポルティング/ポルトガル)は安定した力を発揮してリーグ戦優勝に貢献しました。

 そう考えると、鎌田が戻ってきても先発はないかもしれません。ただ、鎌田にはほかの選手にない長短のパスが出せるという特長があります。またトップ下でもプレーできますし、左のアウトサイドもこなせます。攻撃的なオプションとして有効です。もちろんボランチが一番輝くと思います。イタリアで守備にさらに磨きがかかりました。

 ですから、僕は6月の日本代表の試合に鎌田を復帰させたほうがいいと思います。間違いなく能力は高いので、これを生かさない手はありません。また鎌田が青いユニフォームに袖を通すことを楽しみにしています。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)

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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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