公式戦63回目の大阪ダービーでリーグ10戦ぶり勝利

　ガンバ大阪は5月6日、J1リーグ第12節でセレッソ大阪と対戦し、1-0で勝利を収めた。公式戦で63度目となる“大阪ダービー”では、この日32歳の誕生日を迎えたFW宇佐美貴史が強烈なミドルシュートで先制ゴール。3万4485人が駆け付けた超満員のパナソニックスタジアム吹田で宇佐美にとってプロ入り後の初の“ダービー弾”は、歴史にも記憶にも残る一撃となった。試合前には元日本代表MF遠藤保仁コーチが初めて話をしたといい、チームの勝利を裏で支えた。

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　耳をつんざくような大歓声がピッチに降り注いだ。ヒーローはやはりこの男だった。前半28分、相手の日本代表DF毎熊晟矢のパスミスを逃さず、高い位置でボールを奪った宇佐美は狙いすまして右足を一閃。強烈なシュートはゴール右に突き刺さった。今季4点目が決勝点。この日、32歳を迎えた男の自身3度目のバースデーゴールだった。

　エンブレムを何度もたたいた。前半22分にはMF倉田秋からのスピードあるパスを見事なトラップで決定機につなげるなど、美技を連発。宇佐美は、過去に2014年のJ1リーグ徳島ヴォルティス戦、翌15年のAFCチャンピオンズリーグ（ACL）城南FC戦でも誕生日にゴールをマーク。そのなかで、初めてダービーで誕生日を迎え、リーグC大阪戦で初めての一発となった。

　アカデミー育ちの“至宝”がプライドとプライドがぶつかり合う大阪ダービーで意地を示した。これでダービーはG大阪の通算成績29勝12分22敗に。リーグ戦でC大阪に5連敗していたが、2019年のホーム戦以来10試合ぶりの勝利。ダービー5年ぶりの白星でチームの連敗も2で止めた。

　この白星を影で支えたのが遠藤コーチだった。試合前、初めて遠藤コーチが全員の前に立ち「誇りを持って戦おう。このエンブレムをつけて今日勝つのはあいつらじゃない、勝って喜ぶのはあいつらじゃない」と、言葉を掛けたという。宇佐美はその時の様子を明かした。

「ヤットさん（遠藤コーチ）が気持ち高めてくれて。それはなんかやっぱすごかったです。もちろんダニ（エル・ポヤトス監督）も普段高めてくれますけど、今日はたぶん特別感を煽るために、ヤットさんに最後話してもらいたいというところで、グッとモチベーション上げてくれた。最後もダニは『もう今日は俺が話したら泣いてしまうから、ヤットさんに最後また話してもらう』と言って、なんかヤットさんが訓示を述べてそれを聞いている瞬間は『ついにこの瞬間が来たか』というふうに思いましたね」

　試合後には「お前たち最高だぜ！」とシンプルに勝利を祝福した。今年の大阪ダービーの主役は2人の「7番」だったのだ。