6試合3ゴール2アシスト…ドイツで絶好調の堂安律が狙う「トップ6」 相手も嫌がる存在に【現地発コラム】
マインツ戦、絶妙アシストをマークしたフライブルクの堂安「練習どおり」
4月22日のブンデスリーガ第30節、日本代表MF堂安律がプレーするフライブルクはホームにマインツを迎えた。
残留争い真っただ中のマインツは監督交代の影響と負傷離脱していた選手の復調もあり、直近4試合で3勝1分と上り調子。この試合でも精力的なプレスとダイナミックな攻撃でフライブルクを苦しめていく。ピッチ上のいたるところで激しい競り合いが繰り広げられ、主審の笛が短い間隔で何度も吹かれる。ガチガチな展開のまま試合は進み、互いにビッグチャンスを多く作り出せないまま、1-1の引き分けに終わった。
フライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督は「いくつかのシーンでもっといいプレーができたかもしれないが、結果に不満足ではない」とチームのパフォーマンスに理解を示し、「難しい試合だった。マインツは今季でベストな時期にいる。とてもアグレッシブで、ハードワークの連続だ。怪我人がいなければトップチームのクオリティーを持っている」と、マインツの健闘を称えていた。
右ウイングバックとしてフル出場した堂安も「90分振り返ってフェアな結果かなと思います」と口にし、次のように続けた。
「こういう展開になるのは予想してました。良い展開で得点を取れたんですけど、その前から流れが悪かったんで、ああいうイージーなミスをしているとやられるのは時間の問題かなと思いながらプレーはしてました」
先制点は堂安の左足から生まれた。右サイドでボールを受けるとマークに来る相手と向き合いながら、ペナルティーエリア内に上手く入り込んでいくオーストリア代表FWミヒャエル・グレゴリッチを視野に入れていた。スッと左足に持ち直すと、センターバックの頭上を越える正確なクロスでグレゴリッチのヘディング弾をお膳立てした。
「トレーニングでもかなりコミュニケーションを彼とは取ってますし、ボーフム戦のアシストもそうでしたけど、練習どおりかなと思います」
堂安は直近6試合で3得点2アシスト。堂安を経由することで攻撃のリズムが生まれ、得点の匂いが強くなる。相手の対応に応じて足もとに収めるのか、ダイレクトで味方に当ててパスをもらい直すのかのバランスがとてもいい。特にFWのグレゴリッチやルーカス・ヘーラーとのワンツーパスでペナルティーエリア内へとハイスピードで侵入してくるプレーは、相手守備にとって本当に嫌なものだろう。
マインツ戦の引き分けで勝ち点1を重ね、第30節終了時点で順位を7位に上げたフライブルクだが、6位フランクフルトとの勝ち点差は5。今季残りが4試合であることを考えると、この差をひっくり返すのはだいぶ難しいものがある。
それでも堂安の視線は前を向いている。
「勝てれば良かったですけど、こういう結果になってしまったんで。最後まで諦めずトップ6を狙いたいなと思います」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。