オランダで充実キャリア…小川航基と佐野航大、蘭カップ戦決勝の大舞台で放った存在感【コラム】

NECナイメヘンの佐野航大(左)と小川航基【写真:徳原隆元】
NECナイメヘンの佐野航大(左)と小川航基【写真:徳原隆元】

【カメラマンの目】KNVBカップ決勝で持ち味を発揮した日本人2選手

 タイトルの懸かった重要な試合で、負けないように慎重に戦うのではなく、大胆に勝ちを狙いにいく。お互いがボールを持つと一心不乱にゴールを目指し、一気に敵の牙城を攻め落とそうとする気概にあふれたサッカーは見応えがあった。

 4月21日、晴れ間が覗いているなかで、ときおり小雨が降る移り気な空の下で行われたKNVBカップ決勝。ともに日本人選手が所属するフェイエノールト対NECナイメヘンの一戦は、激しい攻撃の応酬となった。

 試合を形作る両チームのプレーは、攻撃ではボールを受けた選手がドリブルで進出、味方も次々と呼応して敵陣へと走り、そこにスルーパスを放つというスピードに乗った流れを繰り返してゴールを目指す、実にリズムの良い展開で進んだ。

 対して守備側はボールを持った敵に対して猛然と駆け寄り二重、三重のマークで動きを止めていく。全選手が豊富な運動量を誇り、走れない選手は試合のなかに入っては来られない。いや、試合には出られないと思わせるほど、選手たちはタフに戦いダイナミックなサッカーをピッチで見せた。

 先発出場を果たしたNECの小川航基と佐野航大もこの激闘で存在感を発揮した。カメラのファインダーのなかに捉えた佐野は、ほかの選手と同様に中盤で手厳しく相手の動きを止め、攻守が入れ替わるとフェイエノールトのタイトな守備を受けた。しかし、激しいマークにバランスを崩しても、倒れることなく自分の役割を完遂しようとする姿は、タフな戦いのなかにあって清々しささえ感じた。

 小川もゴールこそ挙げられなかったが、NECの最前線で奮闘した。懐が深くボールを受けてから相手を交わすフェイントが俊敏で、激しいマークを受けても動じない。供給されるスルーパスに対しての動き出しもスムーズで、そのプレーからは味方との連係が確立されチームにフィットしていることが見て取れた。両選手とも十分にKNVBカップ決勝という大舞台で持ち味を発揮したと言えるだろう。

 試合は後半14分にフェイエノールトが決勝ゴールをマークして熱戦に決着をつけた。

 敗者には光が当たりづらいが、NECの小川と佐野のダイナミックなプレーは強く印象に残った。その姿はデジタルの写真に刻まれ、2人の一瞬を切り取った大舞台での好プレーは永遠に記録として残る。

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徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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