「フットボール好きに届けたい」 広がりつつある「FOOTART」の世界とは

ブラジルで感じたフットボール文化の違い

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 JUNさんが着用するウェアは、フットサルブランド「LUZ e SOMBRA」に提供してもらっている。また、アクセサリー類はJUNさんの手作りの他、天然竹を使用したハンドメイド製品を販売する鎌倉市のブランド「kibaco」とのコラボレーション作品が多い。「みんな仲間、友だちに頼んでやっている」。人脈を生かして活動を続けているが、まだスポンサーなどはついておらず、JUNさんが資金も全て準備しているというのが現状だ。「自分は『B面』という言葉を使ってるんですけど、『B面』あっての『A面』なんです。家族の理解には本当に感謝している」と話す。

 立ち上げ当初の2012年元日、JUNさんは1つの目標を掲げた。「僕はこの作品を売り歩いて、ブラジルに行きます」。こう宣言し、ブラジルに行くまでの物語をブログで書き始めた。そして、ワールドカップ開催を半年後に控えた2013年12月、ブラジル行きの夢を叶える。その過程で、自分を支えてくれる人の想いに触れた。

「作品を売りながらブラジルに行く、と言った時に周りの人は『このお金はお前の夢に落とすんだ』と言って買ってくださって、すごく感動しました。本当にいろんな人に支えられている、と。いろんな人に出会い、いろんな人に支えてもらい、助けてもらい、感謝しながらブラジルに行ってきました」

 “王国”では、作品作りのための写真撮影に励むなかで、サッカーの力をあらためて感じた。

「ブラジルでは本当にみんな日常的にボールを蹴っている。生活のなかにフットボールがある。例えば、この人は仕事しているのかな、というようなおじさんが、夕方になるとボールを籠いっぱいに入れて、引きずって出てくる後ろ姿を見て、『かっこいいな』とか。おじいちゃんくらいの年齢の人が普通にボールを蹴っているし。日本では、高校や大学で引退すると、そこでサッカーが終わってしまう人が多い。ブラジルはそうではなくて、日常のなかにフットボールがあるというのを全身で感じました。

 ブラジルで出会った一人の年配の方に、『この人は心からサッカー好きなんだろうな』と感じて、『あなたにとってサッカーってなんですか?』と聞いたんです。その時に帰ってきた言葉が『健康』だった。その言葉に、自分は『おっ』となって。確かにフットボールをやることによってストレスがなくなるし、仲間、コミュニティーもできるし、そういう考えがあるんだとブラジルで感じました。『お前どこのサポーターだ?』という会話が日常的に聞こえてきて、5歳くらいの子どもがシュートを外したら頭を抱えたりとか。本当にフットボールカルチャーの違いを全身で感じました」

 日本でも、フットボールを「カルチャー(文化)」にしたい。そして、「FOOTART」がその一部になれば……。JUNさんはそう願っている。

 

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