U-23日本に浮かぶ懸念点…ライバル韓国は好調、大岩Jの現状「驚きと言える」【コラム】

パリ五輪最終予選のUAE戦を英記者が総括【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】
パリ五輪最終予選のUAE戦を英記者が総括【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】

パリ五輪最終予選のUAE戦を英記者が総括

 U-23日本代表は4月19日、パリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップのグループリーグ第2戦でUAE(アラブ首長国連邦)と対戦し2-0と勝利。決勝トーナメント進出を決めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏がこの試合を総括し、日本の懸念点を指摘している。

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 ゴール。それはファンが見たいと望んでいるものであり、試合の勝敗を分けるものだ。金曜日のアラブ首長国連邦(UAE)戦、日本代表が作り出したチャンスの数を考えれば、より多くのゴールが生まれるはずだった。

 日本は難しいグループを勝ち抜いて決勝トーナメント進出を決めた。UAE戦の2-0の勝利に文句を言う人はいないだろう。残すはグループ首位の座を懸けた月曜日の韓国戦だ。

 この試合は前の2試合と比べてはるかに厳しいテストになるだろう。日本の攻撃陣は、より正確なシュートを放つ必要がある。

 UAEに対して多くのチャンスを作り出したにもかかわらず、最終的な結果はUAEに対して甘すぎるものだった。チャンスの数が増えたのは、試合終了のホイッスルが近づき、相手の疲れが見えた頃だった。

 日本はUAEから2得点を奪った。それ以外にもゴールの枠に当たったシュートが2回、そして大畑歩夢の際どいオフサイドによって取り消されたゴールもあった。日本は相手を完全に上回っていたと言える。

 しかし、もっと多くのゴールが決まっている可能性は十分にあった。大岩剛監督もそれが懸念事項であることを試合後の会見で認めていた。日本の攻撃陣は、試合を支配していたにもかかわらず、それほど効果的に得点を奪うことができていなかったのだ。

 それは大岩監督が、前の試合から先発を7人も入れ替えたことが原因だったのかもしれない。実際、UAE戦では残り16分で松木玖生が投入されたことで、クリエイティビティーが確実に高まっていた。

 今大会、日本が決めた3得点はセットプレーで存在感を示しているDFや深い位置でプレーするMFが決めたものだ。流れるような攻撃を展開できるタレントが揃っているチームなだけに、オープンプレーからより多くのゴールが生まれていないのは驚きと言える。

 佐藤恵允は豊かな将来性を示した。センターフォワードの藤尾翔太の背後で、本来のポジションである中央から左へ、そして右へと自在に動き回っていた。しかし、一方で藤尾や山田楓喜、荒木遼太郎はやや不安定なパフォーマンスだった。

 韓国との対戦は格好のテストになるだろう。ファン・ソンホン監督が率いるチームは日本と同様にこのレベルでのファーストチョイスの選手たちを欠いているが、それでも十分な脅威となることは間違いない。中でも最も警戒すべきは中国戦(2-0)で全2得点を決め、決勝トーナメントへと導いたFWイ・ヨンジュンだろう。

 最終的には、よりゴール前での影響力を持ったチームがこのグループを1位で突破することになるはずだ。首位通過のチームは次のラウンドでヨルダンかインドネシアと対戦する。そして日本は負けた場合、いきなり開催国のカタールと激突することになるだろう。

 大岩監督は誰が相手でも勝つ自信を持っているはずだが、オリンピックの出場権獲得以上にこの大会での優勝の希望を抱いているのであれば、可能なかぎり簡単なルートが好ましいはずだ。

 そのためには韓国戦の勝利が必須となる。そして、それを成し遂げるために、日本はチャンスを最大限に生かすことから始めなければならないだろう。

(マイケル・チャーチ/Michael Church)

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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