「浦和は生まれ育った街」 “生え抜き”堀之内新SDの就任に激励多数…背番号「20」着用の覚悟
堀之内SDが取材に対応
J1浦和レッズは4月16日のトレーニング後、新たに就任した堀之内聖スポーツダイレクター(SD)と戸苅淳フットボール本部長の取材対応を行った。堀之内SDは浦和にとって地元出身の選手であり生え抜きのクラブスタッフなだけに、発表後は多くの激励の声があったという。
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浦和は2019年末に強化体制を一新してフットボール本部を設立。戸苅本部長、トップチームの強化責任者である土田尚史SD、それを補佐する西野努テクニカルダイレクター(TD)の体制で発足した。その体制で4シーズンを終えた昨季の終了時に土田SDが退任したことに伴い、今季はSDが空位のままとなり西野氏がTDの肩書のままトップチームの強化責任者となっていた。そして、シーズン開幕してリーグ8試合を終えたこのタイミングで西野TDの退任と、堀之内SDの就任が発表された。
堀之内SDは浦和のホームタウンである浦和市(現さいたま市の一部)の出身で、浦和市内の小学校、中学校、高校で育った。東京学芸大学でのプレー時にはユニバーシアード日本代表でも活躍。卒業後に浦和へ入団すると最終ラインやボランチで堅実なプレーを見せてリーグ優勝などのタイトル獲得に貢献し、13年にモンテディオ山形でのプレーを最後に引退すると、浦和へクラブスタッフとして復帰して10年になる。ここ約7年間は強化部門を担当していた。
浦和での強化部門では、提携しているオランダ1部フェイエノールトやドイツ1部フランクフルトも含め海外の10か国ほどで知見も得た。堀之内SDは「特に今、世界から日本のマーケットが狙われているし、国内スカウトの競争力も高まっている」と話す。そして、現役時代にともにプレーした内館秀樹氏が浦和アカデミーのダイレクターを務め、ユースチームを平川忠亮監督が率いるが、そうしたアカデミーとの連携も他のスタッフと協力しながら積み上げてきたと話し、ユース所属選手の積極的な練習参加も計画したいと話した。
そうした経歴の持ち主だけに堀之内SDは「僕にとって浦和は生まれ育った街であり、特別というよりも日常。ただ、10年プレーした後に横浜FC、モンテディオ山形でプレーして外から見た期間もあったが、浦和の良さも実感した」と話した。そして、就任発表後には多くのメッセージや電話での祝福を受けたと話し、「何かあればサポートすると、みんなが言ってくれた」と笑顔を見せた。
現役時代から、自身の武器は何かという質問に困ってきたと苦笑した堀之内SDだったが「一番の武器は周りの人に恵まれていること。フットボール本部も浦和のスタッフも、彼らの能力を最大限に、僕が引き出すわけではないけど、ともにやっていくことが大きな成果につながると思う。僕はそういう仕事の仕方をしたい」とも話した。
一方で強化責任者に浦和でのプレー経験がある人物の就任が続いていることについて、戸苅本部長は「(強化の要職が)浦和レッズ出身でなければいけないということはない。ただ、そういったスタッフが出てくるようなクラブであってほしいと考えている。クラブ内でそういったスタッフ、選手から育ってくるような環境が今後のためにも必要だと思う。一方で、外部の環境や情報を取り入れていくことが弱点になりがちなので、その補完をどうするかの課題解決もしなければいけない」とも話した。
この日の取材対応で堀之内SDと戸苅本部長が着用したウェアには、現役時代の背番号「20」がついていた。堀之内SDが見せる手腕と、浦和で長年を掛けて醸成されてきた求心力の発揮も期待される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)