なぜイエローカード? PK献上&警告は再考の余地あり、FC東京“退場劇”の判定基準とは
東京VとのダービーでFC東京FW安斎が2枚のイエローカードで退場に
4月13日に行われたJ1リーグ第8節、東京ヴェルディ対FC東京のダービーは2-2で痛み分けとなった。この試合のターニングポイントとなった判定について、再考の余地があるのかもしれない。
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J1での16年ぶり“東京ダービー”。味の素スタジアムで行われた試合が動いたのは、前半26分だ。東京Vはエリア内でMF見木友哉が仕掛けると、戻ってきたFC東京のFW安斎颯馬との接触で倒れPKを獲得。安斎にイエローカードが提示され、このPKを見木自身がきっちり決めた。
前半33分に東京V がFW染野唯月のミドル弾で追加点。さらに同43分には安斎が見木へのラフプレーでこの日2回目の警告を受け退場に。こうして有利に立った東京Vだったが、後半23分と同アディショナルタイム4分に途中出場のFC東京FW遠藤渓太にゴールを許す。東京Vは数的優位とリードした展開を生かせず、試合は2-2のドローに終わっている。
2枚のイエローカードを受け退場となった安斎。公式記録ではPK献上のシーンのファウルは「反スポーツ的行為」、退場につながった2枚目は「ラフプレー」と記載されている。
ここでルール上疑問が生じるのは、PKとなったファウルの場面だ。警告となる「反スポーツ的行為」で該当する文章内では、「相手の大きなチャンスとなる攻撃を妨害または阻止するためにその他の反則を行う」(通称SPA/Stopping a Promising Attack)と説明。ただ「ボールをプレーしようと試みて、または、ボールに向かうことで(相手競技者に)チャレンジして反則を行い、主審がペナルティーキックを与えた場合を除く」とPKに限ったルールも存在している。
今回の安斎のプレーは、エリア内で仕掛ける見木に対しボールに触れずに足を払う形で倒してしまった。上記ルールに照らしわせると、ボールへアプローチの意図がなければ警告、あればノーカードの判定となる。見木との接触が上記の条件に当てはまるか否かが焦点だ。
また一方で、同シチュエーションで起こりうるDOGSO(通称ドグソ/Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity/決定的な得点機会の阻止)についても見ていく。DOGSOは、4要件が揃って初めて適用されるルールで「(1)反則とゴールとの距離(2)全体的なプレーの方向(3)ボールをキープ、またはコントロールできる可能性(4)守備側競技者の位置と数」が基準となる。4つが揃った場合、レッドカードの対象だ。
ただ、競技規則上において「ボールをプレーしようと試みて、または、ボールに向かうことで(相手競技者に)チャレンジして反則を行い相手競技者の決定的な得点の機会を阻止し、主審がペナルティーキックを与える」場合はイエローカードに一段階下がるとも規定されている。
ただ、安斎のシーンではエリア内にFC東京守備陣も揃っているため、今回のケースはこの規定が当てはまるとは考えにくい。
もし仮に、PKの場面で安斎へのイエローカードがなかった場合、FC東京が1人少なくなる状況も起こりえなかった可能性も。難解なルールだが、このあたりは議論の余地がありそうだ。