東京V城福浩監督が試合後の円陣で“叱責”した内容とは? 逃げ切り失敗で痛感した自軍の“差”
試合終盤に追いつかれドロー決着
前半45分を終えて、確実視されていた勝ち点「3」の獲得が、最後の20分強の時間で幻となった。
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16年ぶりのJ1昇格を果たした東京ヴェルディは、4月13日のJ1リーグ第8節でFC東京との東京ダービーに臨んだ。前半で2-0とリードしたうえに、数的優位も得た東京Vだったが、試合終盤の反撃に耐え切れずに2-2に追い付かれた。
試合後の記者会見、総括を求められた東京Vの城福浩監督は、厳しい顔をして、慎重に言葉を選びながら「サポーターには悔しい思いをさせました。申し訳ない。以上です」と短くコメントをした。
試合直後の円陣では、かなり厳しい口調で選手たちに声をかけている姿が見られた。その時の内容についても「こういう悔しい思いを学ばなければいけないということを言ったとは思います」と、慎重に答えた。
今シーズン、J1に復帰した東京Vは、開幕戦の横浜F・マリノス戦(1-2)も試合終了間際のPKで同点に追いつかれた。続く第2節の浦和レッズ戦(1-1)でも、後半44分にDFアレクサンダー・ショルツにPKを決められている。それ以降は試合終盤の失点がなくなっていたが、この日はMF遠藤渓太に後半23分と後半アディショナルタイム4分にゴールを許して2-2に追いつかれた。
ハーフタイムには城福監督から「また0-0からだと思ってスタートするぞ」と声をかけられたという。しかし、この試合で先制ゴールを挙げたMF見木友哉は「相手が一人少ないですけど、0-2ということで前からくることは想定できていました。それは選手のなかでも話し合っていたので、『次の1点が入った方に、試合は決まる』と思っていました。それがイージーなミスで相手に点を取られて、勢いをもたらしてしまった」と、自分たちのパスミスで与えた1失点目を悔しがった。
東京Vが最後の時間帯を守り抜き、勝ち点を積み重ねるためには何が必要なのか。まずは相手にチャンスを与えるような不用意なボールロストをなくすことだ。また見木は「もっとボールを保持することができれば良かった。守備のところでは多く動くことは個人的に意識していて、だいぶ追ってはいたんですけど、もっとボールを保持できればよかったかなと思います」と、時間の使い方を反省に挙げた。試合終盤もGKマテウスがロングキックをする場面以外はフェア過ぎるくらいフェアに戦い、ボールをキープしたり、痛がったりせずに、プレー時間を削ろうとしなかった。
そのまま勝てれば美しいが、GKマテウスは強い口調で「今日だけじゃなくてシーズンが始まって何回も同じ形で追いつかれたり、負けたりしている」と言い、「これまでは最終的に集中力が欠けるっていう感じだったけれど、今日に関して言えば、後半全体がそういう試合の最後の感じだった。一人多いはずなのに『自分たちが一人少ないんじゃないか』と思うような戦いぶりだった。そこが本当に恥ずかしい」と、最大のライバルを仕留めるチャンスを生かせなかったことを悔しがった。
城福監督は、選手層を厚くする必要性に言及した。「このチームはやはり選手層を厚くしていかないといけないと痛感しています。選手が代わったら、落ち着きがなくなるという状況を変えていかないと、ゲームの中の終盤でやはり我々が痛い思いをすることを繰り返しています。選手層のところで本当に我々は、谷口栄斗もどれくらいの怪我かは分かりませんが…そこを上げていくのが私の手腕が問われているところかなと思います」と、選手交代をした後も、先発選手たちと同様のプレーの質を保てるチームにすることを目標に掲げた。
この試合、勝ち点1を分け合った両チームだが、試合後のゴール裏の雰囲気は真逆だった。10人になりながらも2点を追いついたFC東京サポーターが、負けなかった安堵と喜びでチャントを歌っていたのに対し、東京Vのサポーターは奮闘を認めつつも、勝ち点3を1にした怒りからくるブーイングを選手にも浴びせていた。
通常の1試合とは異なる重みのある一戦を終え、あらためて自分たちの弱点をさらけ出した東京V。この課題をどれだけ早く解決できるかによって、2024シーズンを通して残留争いを繰り広げるチームになるのか、より上を目指すことを目標にできるチームになるのかが変わってきそうだ。