遠藤航は「絶対世界に行く」 元日本代表が明かす10年前の浦和スカウトの先見の明【コラム】
浦和在籍時に聞いたスカウティングの発言を明かす「当時は半信半疑だったんですが…」
日本代表の現キャプテンを務める遠藤航は、イングランド1部リバプールで確固たる地位を築きつつある。25歳で欧州へ渡り、30歳で英国トップクラブへ……。今回「FOOTBALL ZONE」では「遠藤航の解体新書」特集を組む。Jリーグ時代からその才能の片鱗を見つけていた人物の凄みを、元日本代表の関口訓充が明かしている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
遠藤のプロキャリアは2010年、2種登録選手として湘南ベルマーレでのJ1デビューから始まった。湘南ユース出身の遠藤は、翌11年に正式にトップチームへ昇格。2012シーズンはキャプテンとしてクラブのJ1昇格に大きく貢献する。
2016シーズンより浦和レッズに完全移籍。18年にベルギー1部シント=トロイデンへと渡り海外挑戦すると、19年夏にドイツ1部シュトゥットガルトへとステップアップする。2021-22シーズン以降はキャプテンも務め、2年連続となるブンデスリーガ最多デュエルを記録する活躍を見せた。
そんな遠藤がリバプールにやってきたのは23年8月。中盤の大量放出で人手を探していたなかで、日本人に白羽の矢が立った。この時点で遠藤は30歳。ベテランとも称される年齢で異例の4年契約を結んでいる。
その後の活躍ぶりは、ファンも知ってのとおりだ。徐々にアンカーとしての立場を確実なものにし、チームメイトやサポーターの信頼を勝ち取っている。ここまで公式戦36試合2ゴールと記録も残してきた。
Jリーグ時代に対戦経験のある関口(南葛SC)は、遠藤の印象を「今野(泰幸)選手にすごく似ている感じがしますね」と語る。現在南葛SCで関口のチームメイトでもある元日本代表の名前を挙げ「体型とか、プレスの速さとか、身体の強さみたいなところがどちらにもありますよね」とプレースタイルの類似した点を並べている。
「プレッシャーのなか、守備の対人において1人でボールを奪える部分や強さに関しては、やはりJリーグにいた時から際立っていた選手。今だから特別すごいというわけではなく、その強さをずっと積み重ねてきた結果、現在の遠藤選手があると思います」
遠藤の守備能力の高さを、当時から実感していた関口。共闘したことはないが、2人とも浦和でプレーした経歴を持つ。関口は2013年から2年間、遠藤は16年から18年まで、それぞれ浦和に在籍していた。
関口は浦和に在籍していた当時、クラブのスカウティングが「遠藤は絶対に世界に行く」と発言していたことを明かす。
「当時は半信半疑だったんですが、徐々に貫禄というか……。本当に順調にステップアップしていって、今ではもう日本の中心選手となって凄いなっていうのをひしひしと感じています」
関口の在籍時代の頃から、浦和のスカウティングの目にもすでに“魅力的”に映っていた遠藤。「絶対に世界に行く」の予言とおり、それ以上とも言える欧州トップのクラブで主力となるまで成長した。元日本代表が対戦時に体感していた能力の高さは今、英国の地で実際に立証されている。
関口訓充
せきぐち・くにみつ/1985年12月26日生まれ、東京都出身。帝京高ー仙台ー浦和ーC大阪ー仙台ー南葛SC。J1通算225試合12得点、J2通算247試合20得点。日本代表として通算3キャップをマーク。2009年には仙台のJ2リーグ優勝と天皇杯ベスト4に貢献し、C大阪時代にはルヴァンカップと天皇杯優勝を経験。22年から在籍する南葛SCでは、23年シーズンにキャプテンも務めた。攻撃的なポジションを幅広くこなす万能型アタッカー。