ブンデス日本開催は「起きない」 独1部クラブ社長が“過度な商業主義”に警鐘を鳴らす訳とは?
FIFAは現在、各国リーグ戦を国外で開催することを禁じている
国際サッカー連盟(FIFA)は現在、各国リーグ戦を国外で開催することを禁じている。しかし、今後これを許可する可能性が出てきているという。ドイツ1部ケルンのマルクス・レヤェック社長が来日し、4月10日に都内で記者会見に応じたなか、この件についても言及した。
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3月に韓国でメジャーリーグ・ベースボール(MLB)の大谷翔平が移籍したロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスの試合が行われ、日本でも大きな話題となった。このようにほかの競技では、リーグ戦を海外でやることを認めているが、サッカーでは認められていない。
過去にもスペインなどでは、ラ・リーガの公式戦を国外で開催する動きがあったが、FIFAはこれを禁じてきた。アメリカのイベントプロモーターであるレリバント・スポーツ社が、FIFAに対して反トラスト法(独占禁止法)違反の訴訟を起こしていたが、FIFAが規則を改正するか検討を行う見込みになり、レリバント・スポーツ社が8日にFIFAを被告から外したという。
各国リーグが他国で開催できれば、大きなビジネスチャンスにもなり得る。しかし、ケルンのレヤェック社長は、ブンデスリーガの国外開催には否定的な考えを示した。
レヤェック社長は「プレミアリーグを見ていても分かるように、金銭が入ることでサッカーはどんどん変わってきます。マネジメントをするうえで、お金がなければチームもなくなるので、我々ももちろん大事にしているところです。ただ、お金ばかりを追い過ぎるのも気を付けないといけません。サッカーは、ファンのため、人のためにあるもので、それが変わってしまってはいけません。バランスに気を付けなければいけません。例えば、ドイツではDFBのカップ戦の決勝は、必ずベルリンで行われます。もし、これがベルリンではなく他国で開催されることになれば、私は悲しく思います。そういうことがあってはいけませんし、ブンデスリーガの試合も、クラブのホームタウンで行われるべきでしょう」と、コメントした。
現在、ケルンは5万人のスタジアムが毎試合満員になり、その半分の2万5000人がシーズンチケットホルダーだという。シーズンチケットホルダーは、申し出がない限りは自動更新となり、現在はシーズンチケットを求めるチケット待ちのリストが長くなりすぎており、「今から応募をしても、生きているうちに手に入る保証はできない」状況なのだという。そうした人たちが観戦する試合を奪うことは、正しいことではないと、レヤェック社長は考えているのだ。
ドイツでは昨年11月に初めてNFL(ナショナル・フットボール・リーグ/アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ)のレギュラーシーズンが開催された。レヤェック社長は「ミュンヘンと、フランクフルトでは、NFLのアメリカンフットボールの試合が行われました。ですが、そういうことはブンデスリーガでは起きないと思います。ケルンのホームゲームが東京で行われ、(浅野拓磨が所属している)ボーフムとの開幕戦が東京で行われるというのは、残念ながら起きないと思いますし、そこは気を付けないといけない」と、収入を得ること以上に、重要なことがあると、改めて強調した。
(河合 拓 / Taku Kawai)