「心の中の葛藤を表にしちゃダメ」 JFA審判マネジャーが明かすVARの実情「背中からプレッシャー」

「Jリーグ審判レポート」で配信(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
「Jリーグ審判レポート」で配信(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

「Jリーグ審判レポート」で配信

 スポーツチャンネル「DAZN」による、今シーズンの審判に関する新番組「Jリーグ審判レポート」が配信され、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が試合中に行う判定プロセスなどが紹介された。

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 2月25日に東京ヴェルディと横浜F・マリノスの試合が行われた国立競技場で現役時代にロシア・ワールドカップ(W杯)の審判員に選出されるなど国際主審としても活躍した日本サッカー協会(JFA)審判マネジャーの佐藤隆司氏が登場し、VARが使用する設備などが紹介された。佐藤氏は現在、JFAの審判委員会が記載するレフェリーブリーフィングなどで、VARに関する事項の説明をしている。

 佐藤氏はピッチ横のレフェリー・レビュー・エリア(RRA)にあるモニター画面を紹介し、現役時代にVARからオンフィールドレビューを提案された時の心情を「もちろん自分の判定に疑義があるケースにここに来るわけですから、来るまでの間の葛藤、どんな映像なんだろうと。選手、サポーター、中継を見られている方もすべてここのレフェリーに注目するので、その視線とプレッシャーをひしひしと感じているのがここの場所。決して言葉には出さないですけど、背中からいろいろなプレッシャーを受けながらこのモニターを見る場所」と話した。

 一方で佐藤氏は、このRRAでモニターを見る際の心構えとして「レフェリーには、このモニターに映っている映像をフラットに見なさい」と伝えられていると話す。その理由として、「当然、自分の判定はかわいいんです。『何とか、僕の判定ダメですか?』という気持ちは人間、誰しも持つと思います。でもやっぱり、ここに立った時はそういったものを一度リセットして、ここに流れたものをまっさらな気持ちで見て、自分で最後は決断をしなさいと。口で言うのは簡単なんですけど、なかなか厳しい」という心情を話した。

 また、映像を見た後の判定決定の流れについて「ここで映像が流れて、決断するのはレフェリーなので、たとえばVARがこれをPKにしなさいとか、レッドカードにしなさいということは一切言いません。例えば映像を見てPKにします、これが僕のファイナルディシジョン(最終決定)ですということをちゃんと伝えなさい、と。その交信を(VARと)してからピッチに戻りなさい」という指導がされているという。

 そして「場合によっては、ここで決めて(RRAから)出たけど、やっぱり、(戻っていくような)というシーンが過去にあったと思います。それは、ダメだと。その映像を見た選手やサポーターは何と思うかと言うと、迷っていると。僕らは心の中の葛藤を表に出しちゃダメ。でも、心の中はすごいんですよ」と心情を話す。また、「皆さんが期待しているのは、早く決断して早くプレーを見たい。なので今の仕事なんですが、ここ(RRA)に入ってから出ていくまでの時間は全て測って、フィードバックします」と、その実情も明かしていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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