浦和、ヘグモ監督サッカーの象徴グスタフソンが「やりやすい」と語る“新相棒”は?

浦和のサミュエル・グスタフソン【写真:徳原隆元】
浦和のサミュエル・グスタフソン【写真:徳原隆元】

ヘグモ監督は「非常に良くなってきている」と岩尾を評価

 浦和レッズは、3月30日に行われたJ1リーグ第5節アビスパ福岡戦で2-1の逆転勝利を収めた。今季初めてスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンとMF岩尾憲の同時スタメンに踏み切り、中央からの前進が機能性を増した。

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 浦和は今季、ペア・マティアス・ヘグモ監督が就任して4-3-3システムの導入が宣言された。そして、ヘグモ監督が指導していたスウェーデン1部ヘッケンで中盤3枚の中央で絶対的な信頼を置いていたグスタフソンを獲得。浦和へ移籍してからの2シーズンで中盤のリーダーになっていた岩尾とはポジションが重なると目され、実際に沖縄県トレーニングキャンプなどでは、紅白戦になればAチームのアンカーがグスタフソン、Bチームのアンカーが岩尾という関係になっていた。

 そうした完全なポジション争いになると見られていたが、開幕戦のサンフレッチェ広島戦では岩尾が途中出場でインサイドハーフに入ってグスタフソンと同時にピッチに立った。そのあともこのパターンの起用が続き、MF中島翔哉らの攻撃的な選手を投入したタイミングでグスタフソンと岩尾のダブルボランチになるパターンもピッチ上に現れた。ヘグモ監督も岩尾について「非常に良くなってきている。アンカーとしてもインサイハーフとしても彼はいいパフォーマンスを見せてくれている」と話していた。

 そして、この日の福岡戦でついに同時スタメンとなった。福岡は1トップのFWシャハブ・ザヘディにグスタフソンをケアする役割を託し、ダブルボランチが岩尾とMF伊藤敦樹まで押し出してくるマンツーマンに近い形でプレスをかけた。そこで、グスタフソンと岩尾が入れ替わりながらプレーすることで目先をズラした。前半20分に、マーカーを引き連れて下がった伊藤が作ったスペースに進出したグスタフソンへ、岩尾からの1タッチパスが通った前進はこの布陣が機能性を見せた象徴的な場面だった。

 グスタフソンは岩尾との同時スタメンについて「憲とのプレーはやりやすいし、素晴らしい選手で、いいチームメイトで、お互い理解している。非常に仕事しやすい」と言及。「1対1で対人が多い相手なので、そのような試合はストレスになる。今日のソリューション(解決策)は、2人でローテーションして、憲か僕が前かうしろに入れ替わったり、もちろんそれに敦樹も関わってきて、そうすると相手が難しくなってくるので、そこでいい抜け道ができた」と、その形での手応えを話した。

相手に的を絞らせない効果を発揮

 また、岩尾は後半28分にFWチアゴ・サンタナが決めたPKを獲得した場面で、FW前田直輝に正確なパスを通してチャンスを演出し、試合終了間際には中島にGKと1対1になるスルーパスを通した。今季の初スタメンに「とにかく今日は、勝つことが僕にとってもチームにとっても大事だと位置付けていた。これまでベンチで試合を前半を見る時間が長かった中で、もらったチャンスをどういう結果で示すことができるか」と期するものを持って試合に臨んでいた。

 グスタフソンや伊藤との流動的な位置取りについて、「形を作ることが目的ではなくてライン間を取ることが目的なので、そこらへんははき違えないように、優先順位を間違えないようにすれば、概ね許容している感じは監督にもある。そのへんは試合をやっていくごとに、もっと良くしていきたい」と話す。ヘグモ監督が新システムを導入するなかで、どこまでのことが許容されるのかは選手も探り探りの部分が感じられてきたが、岩尾の見せたプレーはほかの選手にとってもいいヒントになるのかもしれない。

 ともに中長距離の正確なパスレンジがあり、セットプレーのキッカーにもなれる。特性が重なる部分が多い2人だからこそ、役割を固定化せずにシェアすることで相手に的を絞らせない効果が発揮された。浦和にとって、貴重なオプションが確立した試合になったと言えそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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