パリ五輪世代FW福田師王は独で“秘密兵器”になり得るか? トップで猛アピール19歳を直撃【現地発コラム】
オイペンとの練習試合で2ゴールをマーク
3月のインターナショナルマッチウィーク、U-23日本代表がマリ、ウクライナと激闘を繰り広げていた裏で、パリ五輪世代の一人の男がドイツのピッチで結果を残していた。ボルシアMGに所属する福田師王だ。
ボルシアMGは3月21日、ベルギーのオイペンとトレーニングマッチを行った。代表期間中とあって各国代表選手が不在となる中、ここまで出場機会を得られていない選手にとってはアピールの場となる。ここ数試合、ベンチ外が続いていた福田としても、並々ならぬ思いでこの試合に臨んでいた。
「ここ3、4試合くらいメンバー外で誰よりも悔しい思いをしていた。今日こそは絶対に点を決めて、次の試合で絶対にベンチ入るということを目標にして頑張りました」
試合は立ち上がりからボルシアMGが自陣から組み立てながら攻撃を仕掛けていく。なかなかボールに触ることができなかった福田だが、14分にワンチャンスを仕留める。右サイドをうまく攻略すると、中央へのクロスを福田が打点の高いヘディングで合わせてゴールを奪取。絶妙なポジション取りができたシーンだった。
ただ、それ以降もなかなかFWとしてボールを受けることができない。「出せる時だったら出して欲しいんですけど、結構持つタイプの選手が多くてタイミングが難しい。何回も動き直しとかが大事だと思います」と振り返るように、ポストプレーの面で輝けなかったことは次への課題だろう。
それでも福田には得点力がある。後半早々、今度は左サイドからのクロスにファーサイドで反応。うまく合わせたシュートは一度弾かれるが、こぼれ球をすぐさま押し込んで貴重な追加点を奪取した。結局、この点差を保ったまま試合は終了。福田の2得点の活躍で2-0の勝利を飾った。
試合後、福田にトレーニングマッチの手応えを問うと、収穫と課題の2つの面が聞こえてきた。
「まずはスタメンで出させてもらったことに感謝しています。プレーとしては自分の武器でもあるクロスに入るところもそうですし、最後まで詰めるという意識は誰よりもあるので、そういうところで自分の良さというのを出せたのは良かった。だけど、課題である収めるところは、上手くコミュニケーションなどを取れていない選手もいる。そこは今日いろいろ話してできたところもあるし、徐々に合わせていければと思います」
その言葉の裏にはボルシアMGのチーム的な特徴が関係している。今季、チームとしては常にワントップの布陣だからこそ、FWには得点だけでなく、ポストプレーの部分も要求されているのだ。そのため「もっとワントップというのをできるように」という言葉につながってくる。
「例えば、(アメリカ代表FW)ジョーダンだったらでかいし、収めるのが上手し、強い。彼の腕の力は一番強いですね。そういういいところを盗んで、自分の良さをもっと伸ばせればいい選手になれると思う。焦らず、自分らしく、ここから頑張っていけたらと思います」
結果を残したことで、さらに信頼を高めることにはつながったはず。あとはワントップとして、さらに練度を高めることで主力の座に近づいていく必要がある。「1つのチャンスというのを逃さないように、また一からトレーニングしていきたいと思っています」と前を向く福田は、公式戦で結果を残せるように日々、研鑽を積んでいく。
林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。