荒木遼太郎はチーム最多のシュート5本を放った

　今年のパリ五輪を目指すU-23日本代表が3月25日、北九州スタジアムで行われた国際親善試合U-23ウクライナ代表戦で2-0の勝利を挙げた。22日のU-23マリ代表戦は1-3で逆転負けを喫していたが、大岩剛監督は10人を入れ替えて主力も多く投入。4月のパリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップに向けて収穫があった。約2年ぶりに代表復帰を果たしたMF荒木遼太郎（FC東京）は“秘密兵器”として活躍が期待される。（取材・文＝FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞）

　　　◇　　　◇　　　◇

　土砂降りの北九州で大岩ジャパンが意地を見せた。前半は0-0で折り返し、後半から日本はFW細谷真大と、マリ戦でゴールしたMF平河悠を投入。勢い良く立ち上がった日本は後半3分、荒木が蹴った右コーナーキックをニアサイドでDF関根大輝が合わせると、ふわりと浮いたボールがクロスバーに当たって跳ね返り、ゴール前に詰めていたMF佐藤恵允が押し込む形になり先制点を奪った。さらに1点をリードした後半31分、日本は細谷がゴールに走り込んでのシュートを狙うもラストパスが相手に弾かれたが、こぼれ球を拾った途中出場のMF田中聡が持ち出して左足シュートを決めて2-0。リードを広げて試合を決定付けた。

　この一戦に懸けていたのは荒木だった。チーム最多のシュート5本。今季からFC東京へ移籍し、新天地ではJ開幕から4戦4発と結果を残して2年ぶりに代表復帰を果たした。今回の合宿では体調不良で序盤を欠席したが、負けられないウクライナ戦で先発起用。チームメイトのMF松木玖生とともに中盤を形成して、攻撃の組み立てだけでなく、フィニッシュから前線のプレスまで存在感を発揮した。

「自分のプレーは出せたかなと思う。結果を出せれば一番良かったんですけど、そのなかでも、攻守にわたって、今持っているものは出せたかな」

　松木との連係はもちろん、セットプレーでも精度の高さを見せて、先制点を演出。チームとして荒木のプレーが“効いていた”。

「今日の試合に関しては、自分のプレーは本当にできたと思っている。そんなに悪いと思う点はない」

　自身でも手応えを得たウクライナ戦。4月からスタートするアジアカップではグループリーグで中国、UAE、韓国と同居し、上位2チームが決勝トーナメントへ進出。3位以内に入れば、パリ五輪行きを確定できる。大岩ジャパンにとっては決して平たんな道のりではない。7大会連続で出場している五輪切符を逃す可能性は大いにある。今回選出されていない欧州組は最終予選の招集も難しい。主力候補のデンマーク1部ブレンビーIFに所属するMF鈴木唯人らを欠くなかで、荒木は大きな“収穫”となった。

　合宿前は最終予選メンバーの当落線上だったが、アピールに成功。「いつでも選ばれたら行く準備できていますし、選ばれたときの自分のパフォーマンスをもっと上げられるように（FC東京に）帰って、短い期間ですけどやっていきたいなと思います」と、さらなるレベルアップを誓った。

　大岩ジャパンの「新・秘密兵器」がアジアの舞台で躍動することに期待だ。