大岩ジャパンはなぜ完敗? “危機的状況”の裏側…8大会連続へ五輪切符途切れる可能性も【コラム】
マリに1-3の完敗
今年のパリ五輪を目指すU-23日本代表は、3月22日にU-23マリ代表との国際親善試合で1-3の完敗を喫した。前半2分にMF平河悠が先制点を奪ったものの逆転を許し、五輪イヤーの初戦をいい形では飾れなかった。攻守において課題を残し、来月に控える最終予選に向けて不安も残した。
日本は4月にカタールで始まるアジア最終予選に向け、この3月シリーズが最後の準備となる。大岩剛監督が率いるチームでは、この世代でもGK鈴木彩艶やMF久保建英はA代表選出のためにその活動が優先され、彼らを含む海外組の一部も所属クラブの意向もあり招集が難しい見通しのなかで重要な強化試合になった。一方のマリはすでにアフリカ予選を突破し、本大会出場を決めていた。
前半2分、日本は右サイドからのフリーキック(FK)をMF山田楓喜が中央に入れると、FW植中朝日がフリックしたボールが相手に当たってこぼれたところを拾ったMF平河悠がシュート。右のゴールポストを叩いたボールはそのままゴールに吸い込まれ、電光石火の先制点になった。しかし、同34分に日本は自陣でボールロスト。GK野澤大志ブランドンからのパスを受けたMF川﨑颯太のパスが弱くなってしまい、MFママドゥ・サンギャレにカットされると1対1を冷静に流し込まれて失点した。
さらに後半8分、日本はショートコーナーからサンギャレにミドルシュートを許すと、野澤がキャッチしきれずに弾いたボールをMFママドゥ・トゥンカラに押し込まれ1-2とリードを許し、後半45分には追加点を奪われて1-3の敗戦を喫した。
日本は4月からカタールで始まるU-23アジアカップでパリ五輪切符をかけて戦う。16日にグループリーグ第1戦で中国と、19日にアラブ首長国連邦(UAE)と、22日には韓国と対戦。最終予選を兼ねた大会では16か国が参加し、グループリーグを経て各組の上位2か国が決勝トーナメントに進出。そこで上位3か国に出場権が与えられ、4位はアフリカ予選4位チームとのプレーオフに回る。
要するに決勝へ進出すれば五輪切符は自動的に得られる。そのためにはもちろんリーグを突破しなければならないが、“死の組”級の対戦が待ち受ける。
大岩ジャパンは最終予選に向けてA代表のGK鈴木、久保をはじめMF鈴木唯人ら海外組の招集が難航。過去にはリオ五輪本選にエースの1人だったFW久保裕也が招集できなかった事態も起こったことがある。この日は完全な“主力メンバー”というわけではなかったが、予選や本大会のメンバー構成において不測の事態は起こり得る。ゴールを決めた平河や、FKで先制点を演出した山田らはJリーグで結果を残している選手が予選で躍動しなければならない。
相手のマリは身体的な能力の高さに加えて、スピードや上手さも兼ね備えており強豪チームだった。3月25日には欧州予選を突破して本大会出場を決めているU-23ウクライナ代表とも国際親善試合を行う。出番のなかったMF松木玖生や途中出場のMF佐藤恵允らの先発起用も見込まれる。最終調整の場で8大会連続の五輪切符へ向けて弾みを付けられるか、大きな注目となる。