響いた伊東純也の不在…日本代表OBが“選外”を疑問視「配慮の仕方を間違っている」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】伊東が5年ぶりに代表選外「影響は小さくなかった」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング18位)は、3月21日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で北朝鮮代表(同114位)と国立競技場で対戦し、MF田中碧のゴールで1-0と勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、3月シリーズで未招集となったMF伊東純也の不在に触れ、「配慮の仕方を間違っている気がしてならない」と持論を展開している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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森保ジャパンの主力として活躍してきた伊東は、今年のアジアカップ期間中に一部週刊誌報道を受けてアジアカップを途中離脱し、今回の3月シリーズでは約5年ぶりの選外となった。森保監督は「彼だけではなくチームとしても落ち着いて活動できる環境にならない」「彼の一番大切にしている家族や大切にしている方々への影響を考えると招集しないほうがいいと判断させてもらった。一言でいうなら彼を守るため」と、選外の理由を説明している。
金田氏は、日本代表における伊東の存在感をかねてより高く評価しており、北朝鮮戦でも不在の影響が出ていたと指摘。そのうえで、今回の未招集について疑問を呈している。
「ホームの北朝鮮戦で、伊東や三笘(薫)不在の影響は小さくなかった。伊東は本当に必要な人材だからこそ言わせてもらいたい。まず、アジアカップの途中でチームを離脱させた判断は間違っていたと思っている。そして今回も招集されなかった。背景にさまざまな事情があり、森保監督が伊東を守るためという趣旨の発言をしているのは承知の上だが、実際に所属クラブのランスでは出場し、活躍も見せている。守るという意味であれば、日本サッカー協会は変わらず招集し続け、伊東への信頼を招集という行動で示してほしかった」
最終的に本人やチームへの影響などを総合的に判断し、選手を守る1つの手段として未招集となった。しかし、金田氏はサッカー選手としてのプレー機会を奪わない対応こそが“配慮”と考えている。
「本人の意向であれば仕方ない。しかし本当に選手を守るという意味で招集しなかったのであれば、配慮の仕方を間違っている気がしてならない。日本代表に呼べるだけの実力があり、ましてやフランスのクラブで活躍して好調をキープしている。ならば今回招集し、日本サッカー界が全力でサポートする姿勢を全面的に打ち出し、プレーする機会や可能性を奪わない配慮が、本当の意味で選手を守るということなのではないだろうか」
伊東は3月17日のリーグアン第26節メス戦(2-1)で、ドリブルから相手を翻弄する華麗なフェイントを披露し、豪快な一撃で決勝ゴールを叩き込んだ。フランスで存在価値を証明し続ける31歳のアタッカーは、6月シリーズで代表復帰となるのだろうか。
(FOOTBALL ZONE編集部)
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。