北朝鮮戦は「不戦勝でいい」 異例事態にOB疑問「なぜ日本が振り回されなければならないのか」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】21日に急転直下で平壌開催が中止となるドタバタ劇
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング18位)は、3月21日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で北朝鮮代表(同114位)と国立競技場で対戦し、MF田中碧のゴールで1-0と勝利した。同日、26日に予定されているアウェーの北朝鮮戦は平壌開催が正式に中止となり、いまだ詳細が決まっていない。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、異例の事態を受けて「なぜルールを守らない対戦国の事情に日本が振り回されなければならないのか」と疑問を呈している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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3月にW杯2次予選の北朝鮮戦が2試合組まれており、今回のホームに続き、アウェー戦が予定されていた。ところが21日に急転直下で平壌開催が中止となるドタバタ劇となり、日本側に困惑が広がるなかでいまだ代替え開催地は決まっていない。異例の事態を受けて、金田氏は疑問を呈する。
「事前の約束やルールを守れないのであれば不戦勝でいいと思う。本来であれば、罰則を科してもいいぐらいだ。なぜルールを守らない対戦国の事情に日本が振り回されなければならないのか。こんなことであれば、ルールを毎回守らずに相手を翻弄すればいい」
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、3月21日の北朝鮮戦後に取材に応じ、「今朝、突然AFC(アジアサッカー連盟)に対してDPRコリアから平壌での開催が難しいとレターで来た」と経緯を明かしている。日本代表チームは本来の予定を変更し、北朝鮮側の対応と国際サッカー連盟からの最終ジャッジを待つしかない状況にあるなか、金田氏は二転三転する経緯も疑問視している。
「北朝鮮だから特別というのはおかしい話。それであれば、初めから平壌開催ではなく中立地開催とすればいいだけ。問題は本来の期日までに詳細が決まらず、直前でも二転三転している点だ。なでしこジャパンのアウェー北朝鮮戦でも同じようなことが起きて、最終的にサウジアラビア開催となった。試合の数日前まで開催地も決まらない、あるいは決まっていた約束が反故にされるというのは、あってはならないことだ」
金田氏が最も懸念しているのは選手への影響だ。対戦国に振り回される形で犠牲になるのは選手だと強調した。
「結局犠牲になるのは選手。いきなり長距離移動しろと言われるかもしれない。それで日本選手のコンディションが低下し、たとえば今後のパフォーマンスに影響が出た時に北朝鮮が保証してくれるというのか。こんな勝手なことがまかり通っていいのか。決められた期日までに準備や決定ができないのであれば不戦勝というルールでいい」
前代未聞の事態のなか、果たしてアウェー北朝鮮戦の行方はどうなるのだろうか。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。