不遇の鎌田大地に追い風? 監督電撃交代で「残る可能性は増す」…イタリア人記者が去就予想【現地発】
ラツィオは鎌田を高く評価「しかし鎌田選手本人が、来季どうしたいかによる」
MF鎌田大地が所属するイタリア1部ラツィオでは、公式戦4連敗を喫したあとの3月13日にマウリツィオ・サッリ監督が辞任し、イゴール・トゥドール氏が新監督に就任した。鎌田の去就が注目されるなか、新監督就任の影響はあるのか。イタリア紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」(https://www.gazzetta.it/)のステファノ・チィエリ記者に話を訊いた。(取材=倉石千種)
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現在27歳の鎌田はJ1のサガン鳥栖、ドイツ1部フランクフルト、ベルギー1部シント=トロイデンなどでプレー。2021-22シーズンにはフランクフルトでUEFAヨーロッパリーグ(EL)制覇に貢献し、2023年夏にラツィオへ加入した。
今季ここまで公式戦28試合に出場し1ゴールの結果を残す一方、徐々に出場機会が減っていたなかで、シーズン終盤に監督が交代。果たして新監督就任の影響はあるのか。イタリア紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」のステファノ・チィエリ記者は、鎌田にとって追い風になると分析している。
「鎌田選手がラツィオに残る可能性は増すと思う。トゥドール監督は、来季3-4-2-1か4-2-3-1のシステムに変えるだろう。鎌田選手にとってはプレーしやすくなると思う」
鎌田の年俸を払えるのはイングランドかドイツという声も一部の代理人から上がるなか、チィエリ記者は残留の線もあると語る。
「確かにイングランドは平均年俸がイタリアより高いかもしれないが、ドイツはイタリアとそんなに変わらないし、イタリアのクラブでも鎌田選手に同じ年俸を払えるクラブはあると思うよ。来季はコストが高いルイス・アルベルト、チーロ・インモービレは放出になるだろう。鎌田選手が残る可能性はあるかもしれない。移籍するなら、移籍先は見つかる。ラツィオでは今のところ、鎌田選手の新たな情報はない」
今季セリエAの29試合を終えてラツィオは9位。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得の4位ボローニャとは勝ち点11差と苦戦を強いられるなか、鎌田起用は巻き返しの起爆剤になり得ると指摘する。
「ラツィオがCL出場圏内に入るのはとても難しい。ほとんど不可能に近い。いずれにしても、4月は決定的な月になる。鎌田選手がトゥドール監督を納得させるプレーをして、ラツィオに残るかもしれない。トゥドール監督が鎌田選手を起用すれば、その可能性は増すと僕は思う」
鎌田は今夏移籍の噂が浮上しており、イングランドやスペイン、フランス、トルコなど複数のクラブが新天地候補に挙がっている。
チィエリ記者は「ラツィオは鎌田選手を高く評価している。しかし鎌田選手本人が、来季どうしたいかによる。すでに水面下で動いていて、ほかのクラブと合意、内定しているかもしれない」との見解を示していた。
(倉石千種 / Chigusa Kuraishi)
倉石千種
くらいし・ちぐさ/1990年よりイタリア在住。1998年に中田英寿がペルージャに移籍した時からセリエAやイタリア代表、W杯、CLをはじめ、中村俊輔、本田圭佑、長友佑都、吉田麻也、冨安健洋など日本人選手も取材。バッジョ、デル・ピエロ、トッティ、インザーギ、カカ、シェフチェンコなどビッグプレーヤーのインタビューも数多く手掛ける。サッカーのほか、水泳、スケート、テニスなど幅広く取材し、俳優ジョルジョ・アルベルタッツィ、女優イザベル・ユペール、監督ジュゼッペ・トルナトーレのインタビューも行った。