U-20北朝鮮女子、優勝後の日本への”配慮”を代表OB称賛「偏見を持たれがちだけど素晴らしい」
U-20北朝鮮主将チェイ・ウンヨンがチームメイトを統率して日本の挨拶を尊重
U-20北朝鮮女子代表は、3月16日に行われた女子アジアカップ決勝でU-20日本女子代表に2-1と逆転勝利を収め、2007年以来の大会制覇を果たした。北朝鮮はタイムアップ後、日本のベンチへ挨拶に向かい、自陣ベンチ前に戻った際には主将MFチェイ・ウンヨンが日本の挨拶が終わるまでほかの選手たちを制する場面があり、元日本代表DF栗原勇蔵氏は「最後がきちんとしていると、優勝がより素晴らしいものになる」と称えている。
北朝鮮は前半20分に先制を許すも、同44分にサイドからのクロスにファーサイドで飛び込んだDFジョ・リョンジョンがヘディングシュートを決め、1-1の同点に追い付いた。
決定打を欠いた後半、北朝鮮は同31分にコーナーキックからDFキム・カンミが打点の高いヘディングで狙うも日本のGK鹿島彩莉のスーパーセーブに阻まれた。しかし、北朝鮮は後半40分にサイドを切り崩すと、中央へのクロスをジョ・リョンジョンがヘディングで合わせて勝ち越し。2-1でゲームを制し、2007年大会以来の優勝を果たした。
北朝鮮の選手たちは日本の面々とのハイタッチでの挨拶を終えたあと、キャプテンのMFチェイ・ウンヨンを先頭に日本のベンチへ足を運んで挨拶。その後、自陣のベンチに向かったが、日本の選手たちが北朝鮮ベンチへ挨拶していることを受け、チェイ・ウンヨンがチームメイトたちを統率して落ち着かせ、挨拶が終わるまで歓喜を爆発させるのを待つ場面があった。
このシーンはSNS上でも注目を集めたが、日本代表OB栗原氏は「過去の歴史的な背景や振る舞いから偏見を持たれがちですが、気配りができる教養をしっかりと持ち合わせている」と称賛。「最後のところがきちんとしていると、優勝がより素晴らしいものになりますね」と、スポーツマンシップがもたらす効果を語っていた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。